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120 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:52:12 ID:aLAwNRhg
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::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;::::. ::: .: ,======================
::::::::::::::::::::: :::: ::::: :::::;;: .:::. ::: ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 叔父の家から二件へだてた家に美しい娘がいた。
:::.. ::: .:: :: .: .:: ..: ..: :' ..: ..: ; ;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:: ..: ;;; ::.. ::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
: ;;,ｲ,,二二二二二ニニニニニﾆﾆﾆﾆﾆ
ﾆﾆニニニニ@ ヽ||―――升――,;r┬―f ‐r ‐r ‐r
:::::::::::::::::::::::, へ、 .:.::||二二二| |╋╋|==i===i==i==!==!
::::::::::::::::::／, へ ヽ、 .::||―――| |╋╋|＾´l｀^´l｀＾l´^! l
::::::::::::／∠二二ゝ､ヽ : : ||―――| |╋╋} i /ヽ_/ヽ､l i'
::::::／∠二二二二ｽ l二二二二二二二| i!-‐ ｰ- l l
／|ﾆゝ--------孑 /;;:::;;;::::::::::::::::::::::::: l ヽ、∀ ,ﾉ、 ヽ
| |ﾓ幵幵||幵幵l <元三三三三三三 ヽ､,_,x,_,x_,x,_,x,,_
| |ﾓ幵幵||幵幵 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
| |ﾓ幵幵||幵ﾎ ﾑニニニニニニニニニニニニニニニニ
二二二二ニニニ |_|ﾆﾆニﾆﾆﾆﾆニﾆﾆニ:i! ﾄ-‐|l| |￣￣||￣
＿||＿_||＿_||＿||_; | ||||||||||||||||||||||||||||||||∥|llii!:|l| | ||
＿||＿_||＿_||＿||_; | ||||||||||||||||||||||||||||||||∥|llii!:|l| | Q||Q
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121 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:52:45 ID:aLAwNRhg
.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼
.／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:, ィﾈ､:.:.:.::.: : :.:.:.:ヽ
／/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／. .ヽ:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:',
.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :.:.:.:.:.:.／ .ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:., うい
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／ ＿__ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:, 有為子という名前である。
|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :/'"´￣｀_ ´,ｨ ｀､:.:.:.:',:.: :i す
.V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l ,ィ=＝ミ ｨｼ､-､ .',: : :l:.: :| 目が大きく澄んでいる。
ﾄ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :|ｲ!.l{:::::ﾘ ´l{:::l! i!'./:.:.:/.'.l |
.l.V:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:', ヽヾｼ. `''" ´/:.:.:/ 〃
l..|:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : :l:.l＼､二ﾌ <ﾆ/:.:.:/
.l.l:.ﾉV:.:.:.:.:.:.:.:.:| ヽ ヽ ＿., 〃:/
// l|:.:.: :/∧:.',ヽ､ ヽ,-‐' .y' ././
〃 /:.:/:.:.:/＼､ ＞ ､ ＼／ ／./
/:/',:.:/ .ヽ ,＞ ､ _.／.／
.,..:-／l '/ '., /_
..／:::::(:::::::', ＼ |', ヽ､
／:::::::::::ヽ:::: :', ＼ l ヽ .ヽ
／､::::::::::::::::::ヽ: :::'., ＞､ ', ', ＼
. 〈 .＼::::::::::::::::ヽ:::::ヽ .／~/ .l .,､‐-､＼
l ＼:::::::::::::::｀:::::ヽ ／ ./l ./ .／::::::::::::::､ヽ
〉 ｀ヽ､ ＼:::::::::::::::::::::ヽ／:::::＼ ヽ /／::: ::::::::::::::::/ ヽ
. ヽ＼､ ヽ ＼.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ /:::::::::::::::::::::::::/ .,ｲ
!ヾ｀ヽ ヽ｀ ',:::::::::::::::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::::::/ / .l視聴者カウント
122 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:53:12 ID:aLAwNRhg
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／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:＼ ／
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ〃:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼. / ＿|＿ ＼
／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:;／´`"＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..＼ ,' |＿___ 家が物持ちのせいでもあるが、
／/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾍ＼ | ／| ヽ けんぺい
,':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ﾍ |. ｌ （_ノ ＿ノ 権柄ずくな態度をとる。
i:.:.:/:.:.:.:/:.:/ ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.', |. |
l:.:.il:.:.:.:.:!!/ ＼:.:.:.:..＼.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｌ ! ｌ lヽ│/ ／
|:.:!i:.:i:.:.:i ＿＿__ レイ.:.:.:.＼:.:.:.:.:.:.:.:ﾉ | ヽ＿ノ !ｰ┼‐ |‐┬
|＼ﾄ:.i:.:.|.＿＿__` ,-ｰ――--､,,∨リ＼i:.:.:.:.:.ｲ | |./│ヽ l |
ヽi.:| ､i┘::::i r┬┬‐┬ｧ i|:.:|:.:.|l:.:.:.:.:/' | ー┼─ └── ｌ |
ヽ! ゝ- ' ｉ,.┘:::::ｉﾉ /:.:/〉:.∨ﾚ' | ｰ┼－
(二 二) ､ `'ｰ‐ '∠／≠r'.ﾉ | _⊥_ l |
λ ｀i`ｧｰ-- ､ (二 二)/ﾊ:',.∧ | (__丿 ヽ レ |
`､ ﾚ' ', ,/|:.:i| |l/ﾍ! | l
` = ､ '､ ﾉ ,.イ:.∧'|:.:ｌ! ＿| _＿|＿ _ノ
｀＞-r =ﾆi´､.,_iハヽヾﾍ. ＼ .＿|
_,.イ´ヽ.7 ／ /:＼＼|＼! | .（＿|
／7:::::! ∧∠´ /::::::::/ヽ. | ノ
/ /:::::::レ'/ムヽ ／::::::::/ ヽ. ',
. / ,':::::::::::!/ ハ／:::::::::::;' ', ヽ.
/ /::::::::::::::::＼ ／:::::::::::::::::i ', ｀`"''' ｰ──---
123 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:53:39 ID:aLAwNRhg
-‐ '´￣￣｀ヽ､////
／ ／" ｀ヽ ヽ ＼////
//, '/ ヽﾊ ､ ヽ///
〃 {_{ ／ ⌒ ﾘ| ｌ │ i|//
ﾚ!小ｌ（ ー） （ー）从 |、i|//
ﾚ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |ﾉ// みんなにちやほやされるのにかかわらず、
ヽ、 ゝ._） j /////
ヘ,､ __, イ 丶/// 一人ぼっちで、何を考えているのかわからないところがあった。
マ: : ﾄ､＿//, 丶///
/ l: : lーにつ| 丶///
〈 ﾄ､!; ; ; ;l | ! 厶///
tﾁ＝| l|; ; ;につ弋==＝卞´///
, -ーく＿_l |; ; ; ;|｜/ ヽ///
,r''"´ j |__ﾍ; ; ; Nカー‐ t‐ '´///
／ l |￣j‐t‐jー‐| |!z---t､ ///
.／ :::: , Z三ﾐ､―-＝'´￣ ! | 、― l._|///
.／ ::::: ／ /´ | l＿,,. ==z､ l | 丶 l>///
,/ :::::: ／ ,' ／￣ l | r'ーｲぅ ＼｢////
/ ,' i { { ｹ＝彳 ／/´///
__,'＿＿＿＿＿＿__, | i,z‐ヘY＿_. jニ 厶///＿＿＿＿
,' .ﾊ ',/// LlLLJ´￣￣
,. ,'/ﾍ. ',///
, ﾉ//ﾍ ',///
, /// ,ﾍ ',///
,i' /// ' 、 ',///,
ﾊ､.＿.ノ）// ､ ',//
124 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:54:01 ID:aLAwNRhg
小 処 /／￣＞ ´ ￣ ￣ ｀ヽ Y ,） 処 え
学 女 L_ ／ ／ ヽ 女 |
生 が / ' ' i !? マ
ま 許 / / く ジ 妬み深い女は、
で さ i ,.lrH‐|'| /‐!-Lﾊ_ l /-!'|/l ／｀'ﾒ､
だ れ l | |_|_|_|/| / /__!__ |/!ﾄi i/-- ､ ﾚ!/ / ,-- ﾚ 有為子がおそらくまだ処女であるのに、
よ る _ゝ|/'/⌒ヽ ヽ/ '/￣｀ヾ 、ヽﾄ､Ｎ'/⌒ヾ ,ｲ￣｀ヾ うまずめ
ね の 「 l ′ 「1 /てヽ′| | | 「L! ' i'ひ} おおいう人相こそ石女の相だなどと噂した。
l は ヽ | ヽ__Ｕ, ヽ シノ ﾉ! ! |ヽ_､ｿ, ヾシ _ノ
⌒ﾚ'⌒ヽ厂￣ | 〈 _人__人ﾉ_ i く
人_,､ノL_,iノ! /!ヽ r─‐- 「 キ Ｌ_ヽ r─‐- ､ u
ハ キ / / lﾄ､ ＼ ヽ, -‐ ﾉ モ 了＼ ヽ, -‐┤
ハ ャ { / ヽ,ﾄ､ヽ/!｀ｈ） | |/! 「ヽ, `ｰ ／） ※石女＝子供を産む能力がない女
ハ ハ ヽ/ r-､‐' // / |く イ ＞ / / ｀'／／
125 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:54:31 ID:aLAwNRhg
.昭 ..| ,. '"::::::::::::::::::::::::::::::::::::｀ヽ､
大 .金 .和 |´::::::::::::<::::::╋::::::>:::::::::::::::::ヽ.
炎 閣 .二 |::::::::_,.-─‐-ｧ-─-::､::::::::::::::::ヽ 有為子は女学校を出たばかりで、
上 寺 十 |,. '" / ｀ヽ､::::::::::〉
.五 | ／ / i ハ ヽ ､ ヽ::/ 舞鶴海軍病院の特志看護婦になった。
. 年 ﾉ/ /.ゝ!､ﾊ i ! ,!ィ! ﾊ !ﾊ
ヽ i ﾊ ﾊ' ⌒ ヽ! ﾚ ⌒ / .i
｀''ｰ---‐'^ヽ!/ ヽﾊ .!' （●） .（●） ﾚ' /
〈ヽ､ !⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃/! rｲ
ヽ. ヽ.ヽ､ ゝ._） ,.ｲノ ﾉ
〉ヽ､ヽ.＞.､.,,___ ,イハイ
ヽ／ ´￣｀ヽｰr‐'"i´￣:::ヽ､
__ rイ､__､___ iヽ--‐ﾍ::::::ヽ:::ヽ.
と__￣｀ヽ､ﾆ､ ヽr」/ ． 十::::｀ヽ.::::::::::::>､
,. '", 美:..｀ヽ､!,ｲ ． 十::::::::::!､_r:､_rﾝ
／.／7 ,. . !ﾝ ｀ - ''^:::::::-ｲ､ ヽ.
｀´ / /7 ﾊ !ﾍ 十::::::::iｨ´ ﾉ
-‐ '´￣￣｀ヽ､
／ ／" ｀ヽ ヽ ＼
//, '/ ヽﾊ ､ ヽ 病院へは自転車で通勤できる距離である。
〃 {_{ ⌒ ⌒ﾘ| ｌ │ i|
ﾚ!小ｌ（ ●） （●）从 |、i| しかし朝の出勤は夜のしらじら明けに家を出るので、
ﾚ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |ﾉ
〔｀￣￣￣ |｢| ヽ、 ゝ._） j / 私たちの登校時間よりも二時間ばかり早い。
{二二{-}二巾､ ヘ,､ __, イ
〕 || |（と`―-rnー＜⌒}/{{Y〃 {{/ ￣｀丶､
{二二{-}二巾ノ`ｰ- .{ l| 〃 {!/ ｡ l{{ / >､
〔_＿___＿_,|｣| `ｰ'￣￣{ `l＾⌒ｰ（__/ `ー- 、
j | ` ー‐--'
〈＿ |
／｀≠≡==ｰイ
／ / │ ｌ∧
xく / l | │ ﾍ
／ ＞＜_ j | │ _,> ＿, ､
／ ＼／ ー┴く￣ ヽ＜:::::::::::_〉
／:::::::／ ＼ レ '´
／:::::::／ `ー'´
‘ー‐'´
126 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:55:17 ID:aLAwNRhg
＿＿＿_
：／::::::::::::::::＼：
：／ ⌒三 ⌒::::::＼
＿_ ／ （ー）}ililli{（ー ）:::＼： ＿＿＿＿
（：| __´___::::::::::::::::::| ||5: 00 || |
＼ヽ＼ `ー'´::::::::::::／：＼ ￣￣￣￣
＼（￣ ⌒⌒⌒⌒￣⌒ ⌒ ⌒ヽ
ヽ ＼ ある晩、有為子の体を思って、
＼ ＼
暗鬱な空想に耽って、
ガバッ ! ! ＿＿＿＿__
／:υ::─ﾆjjﾆ─ヾ ろくに眠ることのできなかった私は、
／:::li|.:（ ○)三 （ ○)＼
（:::||!.:υ::::: __´___ :::: i|
〃 ）:::::::::::. |r┬-| li::::/ ＿＿＿＿
/: : : : : : l＼`ー '/j: : ::ヽ ||5: 00 || |
＼ヽ :ヽ: : : : 7ヽ />: : : :r:＼ ￣￣￣￣
（￣ ⌒⌒⌒⌒￣⌒ ⌒ ⌒ヽ
ヽ ＼
127 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:55:46 ID:aLAwNRhg
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 暗いうちから床を脱け出し、
;;;;;;;;;;;＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿.| ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; は
;;;;;;;;;||l￣￣ll￣￣l| || ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 運動靴を穿いて、
;;;;;;;;;||l:. ..:..ll l| . .|| ;;;;;;;;;;;;;;,ｶﾞﾗｯ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;||l＿＿ll＿＿l| || ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;|| l l l l l l l l l ! . || ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;|| l l l l l l l l l ! . || ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;||..二二二二..| ..!! , ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ＼';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
＼ ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
＼';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;
;;;;;,, ,,;;, ;,;,; ,;; ,・; ;;;;;;;;,, ,,;;, ;,;,; ,;; ,; ;;;;;;;;,, ,,;;, ;,;,; ,;; ,; ;;;;;;;;,, ,,;;, ;,;,; ,;; ,; ;;;;;
:::,::,:,::::,:: :::,:,,,,,.....:..::::.:....:.:.:.:: :.:::.:::. .:::::.:.::...::,,:.:. : :.:.:・.,.:.:.:.: :::..:.......:..::...:..::
＋...: ......::....::::.. ...: ......::....::::.. ＋...: ......::....::::.. ...: ......::....:: ぎょうあん
::::.. ...: ......::....::::.. ...: ......::....::::.. ...: ......::....::::.. ...: ......::. 夜の暁闇の戸外へ出た。
::::.. ...: ......::.. ..::::.. ...: ... ...＿::....:: ::.. ...: ......::... .:: ::.. ...: ....
〆 ヽ
ヽ_ l :..l.......
;:;;:; ｀'…i､ ヽ ノ ......::... .:: ::.. ...: ......:
:;;:; ; ;:;::; :;;｀'…i､ ￣
::; :;;:; ; ;:;::; :;;:; ; ;:;ヽ
;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; ;:;:; ::;:￣~'ｰーーー＿＿
:;:; ;:;::;:; :;;:; :;:; :;:; ;:;::;:; :;;:; :;:; :;:; ;:;::;:; :;;:; :;ヽ
128 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:56:22 ID:aLAwNRhg
,､､-‐‐‐":::::::::::::::::::::::::::~'-.､,
／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`-､
,.":::::: :::::::::::::::::: :::::: ::::: : : : : : : `.､
/ ﾊ::: ', ', , :::::::::::`､
/::::::::::::::::::/ i::::::::::::::::::: ::::::::::: ::::::::::::::::::::::::::::ﾞ､
//:::::::::::::::::;' i:::';::::::::::':;::::::::::::::'::;::::::::::::::::::::::::::::i 有為子の体を思ったのは、その晩が始めてではない。
,',';::::::::::::::::::;',,..,,i:::':;:::::::::',:;:::'::::::::::::':;::::::::::::::::::::::::::i
,' i'i::;';::::::::::;'.i' ヾ'|＼:::::::, ＼:::ﾊ:::::::';:::;:::::::::::::::::::i 折にふれて考えていたことが、
i i:i i:::::::::〈 ,ｪｧ-ｮ､ ＼::',. ソ, ＼::::':i::::::::::::::::i::i
i i:::::::::::!ヾ 〈:::::::ヾ `' ,......_"ゝi:::::::::::;'i/l ' だんだんに固着して、あたかもそういう思念の塊のように、
i i:: ::::ヽ. ､ヽ:::丿 ,､ｧ''''''-ｭ/::::::::::/ '
'.ﾞ､ヽ:::: ⊂⊃ ⊂⊃::::/i/
' ヽ::',ヽ, :､_,`､_,, ,.ｲ／'ﾞ ´
_ゝ::::ゝ､ ヽ:;;;;丿 ,.イ､,"
_,､､-‐'´ l ヽ`.: ､_､. '´ .l ~`'‐ ､
,､ '´ ヽ / `' -､
,' ヽ ヽ / ,__.. ﾞ'.､
i ` --- ___ --- ‐' ~ :}
l ､ i
129 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:56:47 ID:aLAwNRhg
i ` --- ___ --- ‐' ~ :}
l ､ i
ﾞ、 ヽ; / /
ﾞ, Y ヽ/ '. / 有為子の体は、白い、弾力のある、
ﾞ, ," ｌ '、 /
ﾞ, .i .ｌ . / ほの暗い影にひたされた、
',. {. :| ;i/
,､-‐"',. ';. | ,! 匂いのある一つの肉の形に凝縮してきたのである。
,､ '´ ', '､ ..... ﾉ;:: ..... ﾉ
,ｲ .i ` ､(;;u;:) ,ノ'＼.. (;;u;;,､,､ﾂ
/:::ﾞ, i `i'‐---‐''" ,:ｱ~'''''"~ /
/:::::::＼ i l : ; ;､.ｲ : : /
,‐､
.rヽ, i i /´i
.ヽ 'ﾞ 'ﾞ ./
, -―ヽ.＿ / 私はそれに触れるときの自分の指の熱さを思った。
､-‐ ' ヽ::} _｀ヽ
j:ﾚ' ｀¨
／ .ﾘ
_ .. - '
-― ´
130 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:57:19 ID:aLAwNRhg
,r―''''''ヽ, ヽ
,r‐' ,､;-‐''''""''ヾ､､,
/ .／ r''"ヽ, ＼,
j l ,. / ' l ヽ､ また指にさからってくる弾力や、
,.Lj∠､'´ , i, / ｀ヾ､
l, ／ 二'''" ,;､, ｀''ｰﾞ--､ 花粉のような匂いを思った。
/ﾞヽ-ｯ-‐'´ .／｀ト-:rイ｢´ ﾞ ｀'' -､,＿ ノ'i,
／ ／ ,;∠∠,ノ´ ｲ l l,
..／ﾉ .／ ／､, ,､' ./ / .
ヽ---ﾂ ∧ ￣￣ /
/ ./ .ト､,_ /
./､ ./ l, ｀￣ ./
.l､,.ノ l, ;'
131 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:57:42 ID:aLAwNRhg
／￣￣￣＼
／ノ ヽ､ ＼
／ （●） （●） ＼. 私は暁闇の道をまっすぐに走った。
| __´___ |
＼ `ー'´ ／
／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、
. i／ﾍ" ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/ ﾞヾノヽ
/（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ ''"ヽi、 をノ
（::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
（::::ヽへ、: : : i i/ ﾞ''ヽ,/
132 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 20:59:43 ID:aLAwNRhg
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 石も私の足をつまずかせず、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :: .;:|;. :;: |.:. :.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.: :: .;:;: ｉ:.:. :.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:: :: .;:| ;:: |:;.:. :.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::闇が私の前に
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :: .;:ｉ .:. :.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :: .;:|;. ::; |.:. :.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::自在に道をひらいた。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :: .;: .;: ｉ:.:. :.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :: .;: ;:: |;.:. :.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :: .;:ｉ :.:. :.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :: .;:,:| .:l.:. :.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
133 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:00:10 ID:aLAwNRhg
`:;,':,”:;:;.,:;.:；'.:.:;”:;
ﾞ,:;、,"ﾉ'.:；ノ'.:.:;”:;,`:
':,:;.,:;.:∨/／.:"；'/.:.:;”
.:.:;”:;,`:;:i;|.':,”ｿ::.:ﾞ,:;、,". : .: . :.ｌﾆ|: . . : . : . :
:,:;.,:;.::i;i；／'.:.:;”:;,`:;,': :. . :. .[]n「「 .|ﾆ .:__... - そこのところで道がひらけ、
'；'.:.:;”:|:i|.;,`:;,':,”:"ﾞ:.:ﾞ；'_ __.:.__,,,,-‐‐ ゛ .: :. .: . :. あざ
'.:.:;”:;:i;i|.,/`:;,':,”;”:;,`:;, -ﾆ二_ :.: .:. .:. :. : . .: 志楽村字安岡の部落の外れになる。
”:;,`:;,'|i;i|.:,”/／:;.:'"ﾞ:.: "'‐..._―､_^ー-‐‐､＿__ ;::. :. : . けやき
.:.:;”:i;i|i:;,/`:;,':,”::. ;: - _ヽ. ￣＾~^^ー―ニ＿__..._ そこに一本の大きな欅がある。
；'.:.:;:i;i||”:;,`:;,':,”:"ﾞ:::-_ =- -ヽ. :::li::.:. .:l
'.:.:;”|:i;i|.:；ｌ:;．;"~‐ - ￣,λ`ー-､..__ : .: . : .:
”" :i;i|.|i;,`::;;":::: ＝― _,,-'″`ヽ...: .: .: "`ー、＿_
:i;;i:i,`:;;,`:;,':,_＿ ,,‐'"~:..: .: .:.. ,;`-,:: ;: ;: : ; :; ::.:..:.:￣
＝－ . ,,‐'" :.:. :. :. :; :;::. :. `ー-,.__. :. :..: .: . 部落＝比較的少数の家からなる地域的共同体。
― ＿ ,,' "..: .: .:. :. :. : .. :.: .: . :. : : .:."`ー-, . : 市町村制施行以後市町村の下部機構
￣- ;;" .: .:. .: . :. .:.:. : .: . :. : .: . . . :. : .: .: .: .: .
|:: :|: .::| .:|:. l:|
|::.,: :r.:| ::|:. l:| 欅の幹は朝露に濡れている。
|: |:: |::.. ::. j:|
|: |::. ::| .:|: ::| 私は根方に身を隠し、
|: |::. ::ｌ .:|: ::|
|:ｉ ::| :: :| ｌ | 部落のほうから有為子に自転車が来るのを待った。
|:|: :| ::| :: ;| |
|:|: :| ::| :: :| |
|:|: :| ::| :: :{ |
|;} : :| :| :: |
|: .:| ;n ::| :: |
, . |: ::| ::{ﾘ ::! :!:| ,,.., .,..
; , | .::| ::r : :| :i | .:;;::;;;. ,;:. ,.
;; /.::/ :::|i :.:| :l;ﾊ.＿,,. ,,::;;.:. ,;:.,,. .. ,.,,.
ノ,;ノ : ::八 :ゝ::ヽ＼＿,,.,. :, ,.vVw,
;:´.:: :／.::::ヾ::＼::＼::ｰ､ ,;;::.. ,,:;;;.. .,:: ,;..,,..
134 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:00:52 ID:aLAwNRhg
|:: :|: .::| .:|:. l:|
|::.,: :r.:| ::|:. l:|
|: |:: |::.. ::. j:|
|: |::. ::| .:|: ::| ＿＿＿_
|: |::. ::ｌ .:|: ::| ／ ＼
|:ｉ ::| :: :| ｌ | ／ ─ ＼ 私は待って、何をしようとしたのでもない。
|:|: :| ::| :: ;| | ／ （ー） ＼
|:|: :| ::| :: :| | | __´_ | 息をはずませて走ってきたのが、
|:|: :| ::| :: :{ | ＼ . ／
|;} : :| :| :: | /⌒ヽ ｨヽ＿ 欅の木陰に身を休めてみて、
|: .:| ;n ::| :: | / ､ ､ 〆ヽﾞ￣ ｀i
, . |: ::| ::{ﾘ ::! :!:| ,,.., ./ / ﾞ lヾ_ ,|ヽ 自分がこれから、
; , | .::| ::r : :| :i | .:;;::;;/ /l `､´/ ~'´ ヽ
;; /.::/ :::|i :.:| :l;ﾊ.＿,,/ / ヽ ,＿＿__ ｀ ,ヽ ヽ なにをしようとしているのかわからなかった。
ノ,;ノ : ::八 :ゝ::ヽ-─ヽ ｲ_ ヽ / ￣￣￣￣`ヽ Ｙ ゝ‐-､
;:´.:: :／.::::ヾ::＼( _i _i＿ﾄ､__) ヽ､＿＿_⊥＿＿＿＿ﾉ 「＿＿＿ﾉ
135 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:01:17 ID:aLAwNRhg
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::┃
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::┃ しかし私には、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ／ ＼::.:::::::::::::┃
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;／ ヽ､ .ヽ:::::::::┃ 外界というものとあまり無縁に暮らして来たために、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::（⌒）（⌒ ） . .ヽ::::::┃
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ' i::::::::┃ ひとたび外界に飛び込めば、全てが容易になり
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼_. ⌒ゞ'´::::::┃
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::~'/⌒/⌒/ / |:::::::┃ 可能になるような幻想があった。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::（つ/＿/ / ＼.|:::::::┃
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::（＿＿＿_/ .ヽ:::::::┃
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;/ / ＼ ._丿:::┃
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(_＿ (_＿_）::￣:::::::::::┃
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::┃
| | |
| | |
| | | 藪蚊が私の足を刺した。
| ,l ヽ
| / /
| / |
| _.,／ , / lﾉ
|_ ／／__' , i
／ (_（_`/- ,＿, ノ
／ ゝ（ 丿
;;;;;;;;;ヽ. ,､,､､､ けいめい
//;;;;;;;;;;ヽヽ >-，〉 おちこちに鶏鳴が起こった。
///;;;;;;;;;;==ヽヽ,,,,,-,',,,,,,,,了
|l!ﾞ ''!illllliﾞ／ ﾉﾉﾉﾉﾉl
|l ﾞ!il!ﾞ/ .／ﾉﾉﾉ
ヽヽ,,,,,,,,／ﾉﾉノ
ヽllﾉﾉﾉﾉノ
|/.|/
´k´k
136 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:01:38 ID:aLAwNRhg
`:;,':,”:;:;.,:;.:；'.:.:;”:;
ﾞ,:;、,"ﾉ'.:；ノ'.:.:;”:;,`:
':,:;.,:;.:∨/／.:"；'/.:.:;”
.:.:;”:;,`:;:i;|.':,”ｿ::.:ﾞ,:;、,". : .: . :.ｌﾆ|: . . : . : . :
:,:;.,:;.::i;i；／'.:.:;”:;,`:;,': :. . :. .[]n「「 .|ﾆ .:__... - 私は路上を透かし見た。
'；'.:.:;”:|:i|.;,`:;,':,”:"ﾞ:.:ﾞ；'_ __.:.__,,,,-‐‐ ゛ .: :. .: . :.
'.:.:;”:;:i;i|.,/`:;,':,”;”:;,`:;, -ﾆ二_ :.: .:. .:. :. : . .:
”:;,`:;,'|i;i|.:,”/／:;.:'"ﾞ:.: "'‐..._―､_^ー-‐‐､＿__ ;::. :. : .
.:.:;”:i;i|i:;,/`:;,':,”::. ;: - _ヽ. ￣＾~^^ー―ニ＿__..._
；'.:.:;:i;i||”:;,`:;,':,”:"ﾞ:::-_ =- -ヽ. :::li::.:. .:l
'.:.:;”|:i;i|.:；ｌ:;．;"~‐ - ￣,λ`ー-､..__ : .: . : .:
”" :i;i|.|i;,`::;;":::: ＝― _,,-'″`ヽ...: .: .: "`ー、＿_
:i;;i:i,`:;;,`:;,':,_＿ ,,‐'"~:..: .: .:.. ,;`-,:: ;: ;: : ; :; ::.:..:.:￣
＝－ . ,,‐'" :.:. :. :. :; :;::. :. `ー-,.__. :. :..: .: .
― ＿ ,,' "..: .: .:. :. :. : .. :.: .: . :. : : .:."`ー-, . :
￣- ;;" .: .:. .: . :. .:.:. : .: . :. : .: . . . :. : .: .: .: .:
:::::::::::::::::::: ::::::::::::::::::
::::::::::::::::::: :::::::::::::::::
:::::::::::::::::: ::::::::::::::::: ほの
::::::::::::::::: :::::::::::::::: 遠く白い仄かなものが立った。
:::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: ::::::::::::::
:::::::::::::: :::::::::::::
:::::::::::::.' ｀.::::::::::::
::::::::::::::::::.... ....:::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
......................................
.::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::........
...:::::;;;'' ';;;:::::....... それは暁の色のように思われたが、
...::::;;;'' '';;;::::::.........
....::::::;; '';;;::::::::::.......
~~^^ ~~~~~^^^~ ~~^^~~~^ ~~~^^~~~~~^^ ~~~~~^~~^^ ~~~~~^^^~ ~~^^~~~^ ~~~
137 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:02:12 ID:aLAwNRhg
-‐ '´￣￣｀ヽ､
／ ／" ｀ヽ ヽ ＼
//, '/ ヽﾊ ､ ヽ 有為子だったのである。
〃 {_{ ⌒ ⌒ﾘ| ｌ │ i|
ﾚ!小ｌ（ ●） （●）从 |、i| 有為子は自転車に乗ったらしかった。
ﾚ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |ﾉ
〔｀￣￣￣ |｢| ヽ、 ゝ._） j / 前燈が点けられた。
{二二{-}二巾､ ヘ,､ __, イ
〕 || |（と`―-rnー＜⌒}/{{Y〃 {{/ ￣｀丶､ 自転車は音も無くすべってきた。
{二二{-}二巾ノ`ｰ- .{ l| 〃 {!/ ｡ l{{ / >､
〔_＿___＿_,|｣| `ｰ'￣￣{ `l＾⌒ｰ（__/ `ー- 、
j | ` ー‐--'
〈＿ |
／｀≠≡==ｰイ
／ / │ ｌ∧
xく / l | │ ﾍ
／ ＞＜_ j | │ _,> ＿, ､
／ ＼／ ー┴く￣ ヽ＜:::::::::::_〉
／:::::::／ ＼ レ '´
／:::::::／ `ー'´
‘ー‐'´
138 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:02:34 ID:aLAwNRhg
|:: :|: .::| .:|:. l:|
|::.,: :r.:| ::|:. l:|
|: |:: |::.. ::. j:|
|: |::. ::| .:|: ::|
|: |::. ::ｌ .:|: ::|
|:ｉ ::| :: :| ｌ | ／￣￣￣＼
|:|: :| ::| :: ;| | ／:::::::::::::::::::::::::: ＼
|:|: :| ::| :: :| | ／ ::::::::::::::::::::::::::::::::: ＼. 欅のかげから、私は自転車の前へ走り出た。
|:|: :| ::| :: :{ | | __´___ |
|;} : :| :| :: | ＼ `ー'´ ／
|: .:| ;n ::| :: | ／::ノ"''ﾌ:ﾉ|ﾞ x ''|ヽ!:::_,,,L,,ﾉ,,ﾉ_ノﾞ>i、
, . |: ::| ::{ﾘ ::! :!:| ,,.., .,.. . i／ﾍ" ﾑﾉ:::::| i::::! |-''"::::/ ﾞヾノヽ
; , | .::| ::r : :| :i | .:;;::;;;. ,;:. ,. /（:::::::ﾞソ"_;;;;;;ﾉ: :V: :ヽ ''"ヽi、 をノ
;; /.::/ :::|i :.:| :l;ﾊ.＿,,. ,,::;;.:. （::::ヽ,ノ"!,,_::;／: :i: :i: : :ヽ_;;:::::"ヽi、
ノ,;ノ : ::八 :ゝ::ヽ＼＿,,.,. :, ^ﾞ''" ／::::;ｼ: : : : i , -ii !、＼::;;ノ::::）
;:´.:: :／.::::ヾ::＼::＼::ｰ､ ,;;::.. （::::ヽへ、: : : i i/ ﾞ''ヽ,/ ,;..,,..
-‐ '´￣￣｀ヽ､
／ ／" ｀ヽ ヽ ＼
//, '/ ヽﾊ ､ ヽ 自転車も危うく急停車をした。
〃 {_{ ＼ ⌒ﾘ| ｌ │ i|
ﾚ!小ｌ（ ●） （●）从 |、i|
ﾚ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |ﾉ
ヽ、 ゝ._） j /
,ヘ,､ __, イ
＿＿ ,-'';::::::::::`l.=/::::`l_ ,-─-、
ﾄ┃◎i /,^::`l::::::::::|/;::::::::i`l / .l _/
.|┣━`l |;;:::::::::`l:::＿,--、_i::`l | l /
.|┃ _l .〉、;;:::::L,-i、__::::::`::〉 _ 「| c＝=-o
.|┗━__`l `l＼:::::::::::_,>:::`-─' l' `L ,-、へ|、l .|
＿`L二二_`L＿〉::_`ー''＿,,--'l＿,,>-'-|（` ,-、/ﾉ||l、 ﾉ ＼
`l、＿,,-─''ﾌ;::::::l::ii:::::ii:::::[[]]_,-'' ＿,-'`llー'`＿||_`ー' ＼
＿＿＿,-'＿＿_ /:::i::::::|::::;;::::::::i::／ -, O)_,--''=l: |/,- v,￣.i
-＝二＿,,--─''''、＿ ＼＿_|::::::::::::::||..::::::::/ ﾉ_l: |、_ノl、_ﾉ
_,-─,─-、(iコ／ `──Y/|:::::::::::::ﾉ`──────''ニO`-',=lO
`i、＿i l'o<l|'￣￣￣`-ノ彡|:::::::::::::|《（＿（）（＿（） （）ll、,-l: |ーi |
`ー-,-─--,,_|l,-''：：/| |::::::::::::| r,,l,-、/ l、-r'￣`ll,-、,l: |-''''￣￣`-、
./:::,-' ,-'//：：：/_:L|:::::::::::||l'`'l ＼,ll_ l、| l| l/ミ＿,,-─'￣`-、
.l:::// ,--//：：_,-'/::::::|::::::::::|.|l__l＼ ＼ﾉ,-L l,--、lﾚ_,-l：：i＿/l_::::::::::::`l
|:::| | l：,-/''─-,,_:i=＝|:::::::::|L//77＼ ）7 `lli'＿ﾉ〉::::,-l：：：ﾚ/,,i`-、::::::`l
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.l:::l l、 -,wy─-,,＿_i|::::::::::|─--,,＿＿/ /、＿___|::::|lヽ, ＼l、l: : l::i ll::::::::::|
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139 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:03:11 ID:aLAwNRhg
＿＿＿_
／ .u ＼ そのとき、私は自分が石に化してしまったのを感じた。
(（○）}ililli{（○）)
/⌒)⌒)⌒. :::: __´___ l_j :::＼ /⌒)⌒)⌒) 意思も欲望もすべてが石化した。
| / / / |r┬-| | (⌒)/ / / /／
| :::::::::::(⌒) U .| | | ／ ゝ :::::::::::/
| ノ | | | ＼ / ） /
ヽ / └ー.┘ ヽ / ／
;:;:;:;:;:;:／ノノノﾉ／ ｀ミﾐヾ彡ミヾヽゞ 彡ミﾐヾ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
;:;:;:;:;:ﾉ/ﾉﾉ/ﾉ/ ＿＿＿_ヾヽ＼ﾍ三彡ミヽヾ丶;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: 外界は、私の内面と関わりなく、
;:;:;:;://////丿 ：／::::::::::::::::＼： ヽヾ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: かっこ
;:;:;://////ノ ：／ ⌒三 ⌒::::::＼ //ﾉ/;:;:;:;:;:;:;:;:; 再び私のまわりに確乎として存在していた。
／/ﾉ ノ// ／ （○）}ililli{（○ ）:::＼： (((丿ﾉ;:;:;:;:;:;:;:;:;
| /ｿ丿ノ/ ：| __´___::::::::::::::::::| ヾヽﾉ;:;:;:;:;:;:;:;:;
彡ノ／/ ＼ `ー'´::::::::::::／： ///;:;:;:;:;:;:;:;:;:
彡ノ／ ／ ⌒ ＼ (( (;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
/ﾉ// | | ///;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
＼ヽヾ | | ノノノ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;
;:;:;:) ) ) |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| //ﾉﾉ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
;:;:ヾミﾐ)) |iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiii| ／／;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:
140 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:03:42 ID:aLAwNRhg
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; | ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 叔父の家を脱け出して、
;;;;;;;;;;;＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿.| ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;||l￣￣ll￣￣l| || ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 白い運動靴を穿き、
;;;;;;;;;||l:. ..:..ll l| . .|| ;;;;;;;;;;;;;;,ｶﾞﾗｯ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;||l＿＿ll＿＿l| || ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;|| l l l l l l l l l ! . || ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;|| l l l l l l l l l ! . || ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;||..二二二二..| ..!! , ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ＼';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
＼ ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
＼';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::;:;;;;;;;;;:;::;::;;;;;;;;;
;;;;;,, ,,;;, ;,;,; ,;; ,・; ;;;;;;;;,, ,,;;, ;,;,; ,;; ,; ;;;;;;;;,, ,,;;, ;,;,; ,;; ,; ;;;;;;;;,, ,,;;, ;,;,; ,;; ,; ;;;;;
:::,::,:,::::,:: :::,:,,,,,.....:..::::.:....:.:.:.:: :.:::.:::. .:::::.:.::...::,,:.:. : :.:.:・.,.:.:.:.: :::..:.......:..::...:..::
＋...: ......::....::::.. ...: ......::....::::.. ＋...: ......::....::::.. ...: ......::....::
::::.. ...: ......::....::::.. ...: ......::....::::.. ...: ......::....::::.. ...: ......::. 暁闇の道をこの欅のかげまで駆けてきた私は、
::::.. ...: ......::.. ..::::.. ...: ... ...＿::....:: ::.. ...: ......::... .:: ::.. ...: ....
〆 ヽ
ヽ_ l :..l.......
;:;;:; ｀'…i､ ヽ ノ ......::... .:: ::.. ...: ......:
:;;:; ; ;:;::; :;;｀'…i､ ￣
::; :;;:; ; ;:;::; :;;:; ; ;:;ヽ
;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; ;:;:; ::;:￣~'ｰーーー＿＿
:;:; ;:;::;:; :;;:; :;:; :;:; ;:;::;:; :;;:; :;:; :;:; ;:;::;:; :;;:; :;ヽ
141 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:04:06 ID:aLAwNRhg
"'''‐- ,. ＼
''''''-- ,,,,,,___ "'''‐- ,. ＼
''''''-- ,,,,,,___ "'''‐- ,.
''''''-- ,,,,,,___ "''' ただ自分の内面を、
''''''--
＿ ＿＿＿＿＿＿_＿＿＿＿ ひた走りに走ってきたにすぎなかった。
￣￣￣￣￣￣￣￣
___,,,,,, ―
,,, ―'''' ／
,,, ― ''' ／
,,, ― ''' ／
___,,,,,, ― ''' ,. ／
,,,,, ―'''' , - '" ／
, - '" ／
, - '" ／
, - '" ／
, - '" ／
, - '" ／
／
142 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:04:28 ID:aLAwNRhg
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 暁闇の中にかすかな輪郭をうかべている
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 村の屋根々々にも、黒い木立にも、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 青葉山の黒い頂きにも、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
143 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:04:55 ID:aLAwNRhg
-‐ '´￣￣｀ヽ､
／ ／" ｀ヽ ヽ ＼
//, '/::::::::::::::::::::::ﾊ ､ ヽ 目前の有為子にさえも、
〃 {::::::::::::::::::::::::::ﾘ| ｌ │ i|
ﾚ!小ｌ:::::::::::::::::::::::::从 |、i|
ﾚ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|ﾉ
ヽ::::::::::::::::::::::::::::j /
,ヘ,､ __, イ
＿＿ ,-'';::::::::::`l.=/::::`l_ ,-─-、
ﾄ┃◎i /,^::`l::::::::::|/;::::::::i`l / .l _/
.|┣━`l |;;:::::::::`l:::＿,--、_i::`l | l /
.|┃ _l .〉、;;:::::L,-i、__::::::`::〉 _ 「| c＝=-o
.|┗━__`l `l＼:::::::::::_,>:::`-─' l' `L ,-、へ|、l .|
＿`L二二_`L＿〉::_`ー''＿,,--'l＿,,>-'-|（` ,-、/ﾉ||l、 ﾉ ＼
`l、＿,,-─''ﾌ;::::::l::ii:::::ii:::::[[]]_,-'' ＿,-'`llー'`＿||_`ー' ＼
＿＿＿,-'＿＿_ /:::i::::::|::::;;::::::::i::／ -, O)_,--''=l: |/,- v,￣.i
-＝二＿,,--─''''、＿ ＼＿_|::::::::::::::||..::::::::/ ﾉ_l: |、_ノl、_ﾉ
_,-─,─-、(iコ／ `──Y/|:::::::::::::ﾉ`──────''ニO`-',=lO
`i、＿i l'o<l|'￣￣￣`-ノ彡|:::::::::::::|《（＿（）（＿（） （）ll、,-l: |ーi |
`ー-,-─--,,_|l,-''：：/| |::::::::::::| r,,l,-、/ l、-r'￣`ll,-、,l: |-''''￣￣`-、
./:::,-' ,-'//：：：/_:L|:::::::::::||l'`'l ＼,ll_ l、| l| l/ミ＿,,-─'￣`-、
.l:::// ,--//：：_,-'/::::::|::::::::::|.|l__l＼ ＼ﾉ,-L l,--、lﾚ_,-l：：i＿/l_::::::::::::`l
|:::| | l：,-/''─-,,_:i=＝|:::::::::|L//77＼ ）7 `lli'＿ﾉ〉::::,-l：：：ﾚ/,,i`-、::::::`l
|:::| | l、`i、_ ─-,|、＿,|::::ﾚ|.l l l``/ / .,-、/l:::::lー-、：.l |`-、`l::::::::::|
.l:::l l、 -,wy─-,,＿_i|::::::::::|─--,,＿＿/ /、＿___|::::|lヽ, ＼l、l: : l::i ll::::::::::|
.l、::i、`ww'-'',-':::::::/|::::::::|￣`─-,,＿_ノー'三三|::::|l`-''`-、_ﾉ． l`-'.l::::::::|
＿＿
／..::::::::::::::..＼
／..:::::::::::::::::::::::::.＼ おそろしいほど意味が欠けていた。
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
,. -‐'´..:::::::::::::::::::::...｀丶､
ﾉ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....ヽ
144 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:05:22 ID:aLAwNRhg
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
＿＿
／..::::::::::::::..＼
／..:::::::::::::::::::::::::.＼ 私の関与を待たずに、
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼ ふよ
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | 現実はそこに賦与されてあり、
＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
,. -‐'´..:::::::::::::::::::::...｀丶､ しかも、私が今まで見たこともない重みで、
ﾉ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....ヽ
145 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:06:49 ID:aLAwNRhg
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::この無意味な大きな真暗な現実は
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿＿::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::私に与えられて、私に迫っていた。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／..::::::::::::::..＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／..:::::::::::::::::::::::::.＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,. -‐'´..:::::::::::::::::::::...｀丶､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾉ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
146 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:07:28 ID:aLAwNRhg
＿＿＿_
／ u ＼ 言葉がおそらくこの場を救うただ一つのものだろうと、
／ ＼ ／＼
／ し （○） （○） ＼ いつものように私は考えていた。
| ∪ __´___ J|
＼ u ｀⌒´ ／
＿＿＿_
／ u ＼ 私特有の誤解である。
／ ＼ ／＼
／ し （＞） （＜） ＼ 行動が必要なときに、いつも私は言葉に気をとられている。
| ∪ __´___ J |
＼ u ｀⌒´ ／
＿＿＿_
／ u ＼ それというのも、私の口から言葉が出にくいので、
／ ／ ＼＼
／ し （＞） （＜） ＼ それに気をとられて、行動を忘れてしまうのだ。
| ∪ __´___ J |
＼ u ｀⌒´ ／
147 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:07:51 ID:aLAwNRhg
＿ｊ|＿ 私には行動という光彩陸離たるものは、
￣|!￣
| いつも光彩陸離たる言葉を伴っているように思われるのである。
＿＿ｊ|＿＿
￣|｢￣
|!
十 |
＿＿ｊ!＿_ 光彩陸離＝光が乱れ輝き、まばゆいばかりに美しいさま
￣|!￣
148 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:08:23 ID:aLAwNRhg
-‐ '´￣￣｀ヽ､
／ ／" ｀ヽ ヽ ＼
//, '/ ヽﾊ ､ ヽ
〃 {_{ _ノ 三ヽ､_,ﾘ| ｌ │ i|
ﾚ!小ｌ（ ●）三（●）从 |、i|
ﾚ⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |ﾉ
ヽ、 ゝ._） j /
ヘ,､ __, イ
ｒ ヽヽ::::::|ヽ`ー'´,1ｰ:::::ヽ、
{ Ｖ:::::::::∨yヽ/::::::::::／,1
|ノ''::"::::::::::ヽ／::::::::::: r" /
私は何も見ていなかった。
しかし思うに、有為子は、
＿＿ はじめは怖れながら、
／..::::::::::::::..＼
／..:::::::::::::::::::::::::.＼ 私と気付くと、私の口ばかりを見ていた。
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
,. -‐'´..:::::::::::::::::::::...｀丶､
ﾉ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....ヽ
149 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:08:44 ID:aLAwNRhg
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
//, '/ ヽﾊ ､ ヽ
〃 {_{ _ノ 三ヽ､_,ﾘ| ｌ │ i| 彼女はおそらく、暁闇のなかに、
ﾚ!小ｌ（ ●）三（●）从 |、i|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 無意味にうごめいている、つまらない暗い小さな穴、
ぶかっこう
野の小動物の巣のような汚れた無恰好な小さな穴、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
／ （ ）}ililli{（ ） :::＼： すなわち、私の口だけを見ていた。
：| __´___::::::::::::::::::|
＼ `ー'´::::::::::::／：
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
150 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:09:09 ID:aLAwNRhg
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ﾚ!小ｌ（ ●）三（●）从 |、i|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ そして、そこから、外界に結びつく力が何一つ
出てこないのを確かめて安心したのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
：| __´___::::::::::::::::::|
＼ `ー'´::::::::::::／：
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
151 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:10:01 ID:aLAwNRhg
-‐ '´￣￣｀ヽ､
／ ／" ｀ヽ ヽ ＼
//, '/ ヽﾊ ､ ヽ
〃 {_{ ⌒ ⌒ ﾘ| ｌ │ i| 「何よ。へんな真似をして。吃りのくせに」
ﾚ!小ｌ（ ー） （ー）从 |、i|
ﾚ⊂⊃ ､_,､_, ⊂ ／~| 有為子は言ったが、この声には朝風の端正さと爽やかさがあった。
ヽ、 ゝ._） / ／
ヘ,､ __, イ~＼ ~＼
ｒ ヽヽ::::::|ヽ`ー'´,1ｰ:::ヽ、＼
{ Ｖ:::::::::∨yヽ/:::::::::／,1 ＼
|ノ''::"::::::::::ヽ／:::::::::: r" /＿＿)
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`／
{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
-‐ '´￣￣｀ヽ､
l`:::'::＼ ／ ／" ｀ヽ ヽ ＼
＼:::／ //, '/ ヽﾊ ､ ヽ
l:l _,-,-'`-、〃 {_{ ⌒ ⌒ ﾘ| ｌ │ i| 彼女はベルを鳴らし、ペダルにまた足をかけた。
,-、 __|::|_/ ＼小ｌ（ ＞） （＜）从 |、i||
／`-__,=-''_,-ヽ ＼⊃ ､_,､_, ⊂⊃ |ﾉ 石をよけるように私を迂回した。
／ー、 / `-、 ＼ ゝ._） j /
/`'＝ _/:`-、 | `-、 /＼,､ __, イ ＼ 人影一つないのに、遠く田のむこうまで、
/''::::_,-'::::::::::::＼ _/_::::;`;;＼ / `ー-' l
./,--'<,`,i >:::::::／ `-,y`、:::＼＿_l＿ ,-─-,,__ | 走り去る有為子が、
/::::::::::::::;;_,--、 ＼ ＼::::::::::::::,,-l──、:::::::::://
＿＿__ノl::::::::::_,-''／／.＼ ＼ ／￣￣`l ー─''./
l、 //:::::::;-'／ ／'￣＼＼ ＼':`-,,_ /＿＿＿ヾ ミ,-'
＼／ l:::::／／ ／─''^-、＼／`,:::::::::::::`-/|ミ`iー .r'
</ | /／／ ／::::::::::: >i ／／::::::::::::::ノ ||` / // 〉
/ | /, ／ ／::::::::::::／／ /::::i_￣￣ |L`─-,,_ノ
| || ヽ<_／::::::::::::／／／／::／`l、 l
| |／.／:::::::::::::／／／／::／ l、 `l、
| ﾚ／:::::::::::／／／／:／`-、_ ＼ l
/`-、／:::::::::::／`<／／:／ .￣￣ヾ＼ .l
l、／`:::::::::::／ー─' _／ __,─-、 / ll ( 〉
l:::::::::::::／＿,,,-─'''' l、_,-'' `-,∠ ノﾉ| `-,,/
`;;;;__／ `-,,＿＿＿/,,,,,,,,,,,,
`ー'""""""""""
152 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:10:29 ID:aLAwNRhg
: ﾞﾞ"'ｰ-､,, あざけ
: : : : : : : ｀ﾞ'''ｰ-､,,,、 たびたび嘲って鳴らしている
: : : : : : : : `ﾞ'-､
: : : : : : : : `ｰ--, ベルの音を私は聞いた。
: : : : : 、: . : : ﾞヽ、
::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:ﾞﾞﾞﾞ'''''''‐- ､ ,,,,,_
::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:｀ﾞ''ｰ- _,,.--ｰ''''''"ﾞ
''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''"""'''''"""''""''"""'''''"""''""''''""￣ﾞﾞ"'''''―-
''"''''"""''"""'''''"""''""''""",,,,-‐'゛'''''"""''""''''""''"''''""''"""'''''"""''""ﾞ''､,,"'''''―--'''""''"''''"""''"""''''
..:ヾ:ヾ.ヽ.:ヾ: ヾヾヽ.:ヾ ...ヾ.,. .ヽ.:,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ヾ:.,..ヽ.:ヾ .. ヾヾヽヾ. ヾ .. ヾヾヾ｀`'‐.｀`'‐.､ヾヽ..ヽ.:ヾ .
ヾヾ ヽ.: ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ ヾ .. .,.ヾ.,. .ヽ .:ヾ:. ..ヽ｀`'‐.､｀`'‐.､ .:
ヾヾヽ ヾ ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ :.,..ヽ.:ヾ .. ヾ ヾヾヽ ヾ ヾ.,. .ヽ.:ヾ:
ヾヾヽ ヾ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ ヾヾヽ ヾ ヾ::.ヾヾ
''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''"""'''''"""''""''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''"""'''''"""''""''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''""
;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:';';';::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:;';',: '::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:;';';.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.
＿＿＿_
／⌒ ⌒＼
／ （ ） （ ） ＼
／ __´__ ＼
| － |
＼ ／
153 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:11:09 ID:aLAwNRhg
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::: ── :::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／ ＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ......:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.................................................................| |....................................................... ――その晩、有為子の告口で、
... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... | |... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ...
.. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. :. .. .. .. .. /.. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. . 彼女の母が、私の叔父の家にやって来た。
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ＼ . . . . .: . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . ー ＿＿ ..／. . . . . . . . . . . . . . 私は日頃は温和な叔父からひどく叱責された。
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ｖwｗｗｗwwwwwwwwwwwwwv
:ll----------------------ll ：;;ゞ；：;:ゞ.
,,r'ﾞ:;;:; ;::; :;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; :;:; ; :;:;ﾞﾟ'i､ 彡ﾐ､r~:: ： ;;ゞ(;;;：;:ゞﾟ'ﾞ
,r''ﾞ;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; ;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; :ﾞﾟ'i､ ﾐ彡iﾟﾞ(;; :.'；:;:.：ゞ ;;ゞ:;:ゞ
.,,r''ﾞ;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; ;;:; ; ;:;:; ::;:; :;:;,,,ｿ “ﾞﾟ''''' ''ﾟﾞﾞﾟ 彡ﾐ；ヾ::：;;ゞ ：;:ゞ.：ゞ
,,rﾞ‰‰‰‰‰‰‰‰‰‰‰‰‰ (彡ﾐ彡ﾐ彡ﾐ彡ﾞ》ﾐ彡ﾉ''ﾞ( ;;: .'；:;:.： ゞ;ﾞﾟヾ；:;::ゞ;:;
《《,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; (彡:;:彡ミ; ;:;; :ﾐ;;:;:;彡｀ﾟ“'：;;ゞ；：;:ゞゞ.：; ;ゞ ：;:ゞ.：.
,r'~二二二二二二二二二二二二二 ヽﾐゞ ゞ::;ゞ; :;:ﾐ;:;:彡ﾐ彡ﾞﾟ''')： ; :ゞ.：;;ゞ；：;:ゞ.：;;
ﾞ~l~~~~~~~~~~~~~~~~ﾆﾆﾆｗﾆﾆﾆ~~~~~ (彡 彡;:;:;ﾐ 彡ﾐ： ;;丿：;;ゞ ：;:ゞ.： ;;ゞ； ：;:ゞ.：;;ゞ
|￣￣￣￣￣￣￣| ∥ |目 .(ゞ;:ゞ;:,ｖr━i､
|￣￣￣￣￣￣￣| ∥ | l'''''''"'''''''''ﾟ゜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
|￣￣￣￣￣￣￣llllllllllllllllllllllllll │::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞﾞ~'ﾍ､;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.､､;: ...:,:.:.､ ,:.:.､､; .:,:.､ :.､､;:.. .:,:.:.､.:.､ ~'ﾍ;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.､､ ;:...:,:.:.､,:.:.､､ ;:...:,.､ :.､､;:...:,:.:. ､,:.:.､､;:...:,: .:.､~'ﾍ;;::::::::::::::::::::::::::::::::
:.､､;:...:,:.:.､,:.:.､､;:...:,:.:.､ :.､､;:...:,:.:.､ ,:.:.､､;:...:,:.:.､ :.､､;:...
154 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:11:36 ID:aLAwNRhg
＿＿＿
／ ＼
／:::::::::::::::: ＼ 私は有為子を呪い、その死をねがうようになり、
／:::::::::::::::: ＼
|:::::::::::::::::::::::: |
＼:::::::::::::::: ／
| ::::::::::::::: | iﾍ
| ::::::::::::: ゝ__/
| :::::::::: /
（＿＿（＿＿ ヽ
/ ,＿/ ＿＿＿ノ
`ー' `ー'
＿＿＿_
／⌒三 ⌒＼ 数ヵ月後には、この呪いが成就した。
／（ ○）三（○）＼ じらい
／::::::⌒ __´___ ⌒:::::＼ 爾来私は、人を呪うということに確信を抱いている。
| |r┬-| |
＼ `ー'´ ／
/⌒ヽ ー‐ ｨヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ ／ r─--⊃、 |
| ヽ,.ｲ ｀二ﾆﾆうヽ. |
155 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:12:06 ID:aLAwNRhg
/ /' / / ,:'/,:
,:' / ,: ' / ' / / ,:'/, / / ,:'/,: 寝ても覚めても、私は有為子の死をねがった。
' ,: /' ／￣￣∪＼ /' /
' / ,:'/,: ／（●） （●） ＼ ' / ' / 私の恥の立会人が、消え去ってくれることを願った。
/,: ／ ´ ＼ ,:'/,: /'
/ ,:'/, | ∪ | ' / / ,:'/,: 証人さえいなかったら、地上から恥は根絶されるであろう。
/ ＼ ,／' /
/ /' ／ ∪ ＼'/ /'
/ ,:'/,: ｜ Ｙ ∪ | ｜/ ,:'/,:
｜｜∪ | ｜
/ /' / / ,:'くヽ／ ＼ ,、 ﾍ ／i
,:' / ,: ' / ' / / ,:'／ ／＼丶＼ゞ」 ﾉ 丿 それなのに、他人がいなければ、
' ,: /' ／￣￣ ;;＼＼へ＼ |｜ |／
' / ,:'/,: ／（〇） （●）;＼ Y´ |ノ 恥というものは生まれて来ない。
/,: ／ ´ :::::::;;;;;;;;;＼ ,:'/,: /'
/ ,:'/, |;;;; :::;;;;;;;;;;;;;;;;:::;;;;;;∪;;;;;;;;;;| ' / / ,:'/,:
/ ＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,／' /
/ /' ／ ∪ :::::::::;;;;;;;;;;;;;＼'/ /'
/ ,:'/,: ｜::Ｙ ::::∪;;;;;;;|;;;;;｜/ ,:'/,:
｜｜∪ :::::::;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;;｜
156 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:15:10 ID:aLAwNRhg
＋...: ......::....::::.. ...: ......::....::::.. ＋...: ......::....::::.. ...: ......::....::
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〆 ヽ ￣|!￣
ヽ_ l :..l....... |
;:;;:; ｀'…i､ ヽ ノ ......::... .:: ::.. ...: ......: ＿＿ｊ|＿＿
:;;:; ; ;:;::; :;;｀'…i､ ￣ ￣|｢￣
::; :;;:; ; ;:;::; :;;:; ; ;:;ヽ |!
;:;:; ::;:; :;:; ;:;::;:; ;:;:; ::;:￣~'ｰーーー＿＿ 十 |
:;:; ;:;::;:; :;;:; :;:; :;:; ;:;::;:; :;;:; :;:; :;:; ;:;::;:; :;;:; :;ヽ ＿＿ｊ!＿_
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::私は有為子のおもかげ、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＿＿::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::暁闇のなかで水のように光って
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／..::::::::::::::..＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／..:::::::::::::::::::::::::.＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::私の口をじっと見つめていた彼女の目の背後に、
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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157 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:15:47 ID:aLAwNRhg
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:::::::::＼:::::::::::＼::::::::::::＼:::::ヾ::::::::ヾ:::i::::::i::::::::::::::::::i:::::::|:::/::::::::::::::::/::::::::::::::／:::::i:::::::::/:::::: 他人の世界――つまり、我々を決して一人にしておかず、
:::-:::＼:::::::::::::::::::::::::＼::::::::::::＼::::::::::: : : : : : : :: : :: ::i: :: :::::/:::::::::::::::::／::::::::::´:::::::＿::::::-:::::
:::::::`-、::::::::::＼:::::＼::::::::::::::::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : : |: : :::::::::::/:::´::::::´:::::::::::::::::::::::´:::: 進んでわれわれの共犯となり証人となる他人の世界――
::`::｀::::｀:::::、:::::::::＼::::::＼:::;:::: : : : : :i : : : : : : : : : : : : /: : : : : : : :::::::::::::´::::::::´::::::::´:::::::::::
::::｀:::::、:::::::::::::::、::::::::::::::::: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :´::::::::::＿:::::::::─::::::::´:: を見たのである。
-_:::::::ー:::ー::::＿:::::::-::::,:::: : : :: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :::::::::::::::::-:::::::::::￣:::::
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158 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:16:17 ID:aLAwNRhg
＿＿＿_
／⌒ ⌒＼ 他人がみんな滅びなければならぬ。
／（○） （○ ） ＼
／ __´__ ＼
| － |
＼ ／
＿＿＿_
／⌒ ⌒＼ 私が本当に太陽へ顔を向けられるためには、
／（ー） （ー ） ＼
／ __´__ ＼ 世界が滅びなければならぬ。……
| － |
＼ ／
159 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:16:41 ID:aLAwNRhg
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::.. ::::.. :::: ..:::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::... :: ,: "⌒ '.;. ..::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;::..: :: .; ; :::..;..:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:.. ..: ヽ、_. ,,ノ ::..;:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::..: :::..:: : .: ::: :: : :. : .
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ::..: ; : : : ... : ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:..: : . :. . ::: .:: : : .. : :
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:: .. :: .::; :..: .:: ; ':: .:: .:::: ::. ::: ..:
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;::::. ::: .: ,======================
::::::::::::::::::::: :::: ::::: :::::;;: .:::. ::: ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 例の告口の二ヶ月あと、
:::.. ::: .:: :: .: .:: ..: ..: :' ..: ..: ; ;; /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:: ..: ;;; ::.. ::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 有為子は海軍病院の勤めをやめて、
: ;;,ｲ,,二二二二二ニニニニニﾆﾆﾆﾆﾆ
ﾆﾆニニニニ@ ヽ||―――升――,;r┬―f ‐r ‐r ‐r 家に引きこもった。
:::::::::::::::::::::::, へ、 .:.::||二二二| |╋╋|==i===i==i==!==! とりざた
::::::::::::::::::／, へ ヽ、 .::||―――| |╋╋|＾´l｀^´l｀＾l´^! l 村の人たちはいろいろと取沙汰した。
::::::::::::／∠二二ゝ､ヽ : : ||―――| |╋╋} i /ヽ_/ヽ､l i'
::::::／∠二二二二ｽ l二二二二二二二| i!-‐ ｰ- l l
／|ﾆゝ--------孑 /;;:::;;;::::::::::::::::::::::::: l ヽ、∀ ,ﾉ、 ヽ
| |ﾓ幵幵||幵幵l <元三三三三三三 ヽ､,_,x,_,x_,x,_,x,,_
| |ﾓ幵幵||幵幵 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::||
| |ﾓ幵幵||幵ﾎ ﾑニニニニニニニニニニニニニニニニ
二二二二ニニニ |_|ﾆﾆニﾆﾆﾆﾆニﾆﾆニ:i! ﾄ-‐|l| |￣￣||￣
＿||＿_||＿_||＿||_; | ||||||||||||||||||||||||||||||||∥|llii!:|l| | ||
＿||＿_||＿_||＿||_; | ||||||||||||||||||||||||||||||||∥|llii!:|l| | Q||Q
＿||＿_||＿_||＿||_; | ||||||||||||||||||||||||||||||||∥|llii!:|l{ | ||
＿||＿_||＿_||＿||_; | ||||||||||||||||||||||||||||||||∥|llii!:|l| | ||
＿||＿_||＿_||＿||_; | l二二二二二二二二ｌ| |ﾆ´}」 |＿＿||＿
'| |＿＿＿＿＿＿＿＿i! |, -' ￣￣￣￣
~ ￣￣￣￣￣￣￣￣ ~
160 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:17:40 ID:aLAwNRhg
.,,,_ .;;;;;. .;;;;;. .;;;;;. .;;;;; .;;;;;. .;;;;;
: ﾞﾞ"'ｰ-､,,、 .;;;;;. .;;;;;. .;;;;;. .;;;;; .;;;;;. .;;;;; そうした秋のおわりに、
: : : : : : : ｀ﾞ'''ｰ-､,,,、 ... .::::.. . . ;;;;..:: : :.. . ..;;;;.. ::: :::: ;;;;. :. ... .::::;;;;.. . . .:: : :.. . ..
: : : : : : : : `ﾞ'-､、 ... .::::.. . . .:: : :.. . ... : ... .::::.. . . .:: : :.. . ... ::: :::: :: :. :: :: あの事件が起こった。
: : : : : : : : `ｰ--,． ... .::::.. . . .:: : :.. . ... ::: :::: :: :. ... .::::.. . . .:: : :.
: : : : : 、: . : : ﾞヽ、. . .:: : :.. . ... ::: :::: :: :. ... .::::.. . . .:: : :.. . ..
::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:ﾞﾞﾞﾞ'''''''‐- ､ ,,,,,__ ... .::::.. . . .:: :: :: :. ...,,,,-‐'゛~ﾞ"'ｰ- .:
::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:｀ﾞ ''ｰ- _,,.--ｰ''''''"ﾞﾞ::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,
''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''"""'''''"""''""''"""'''''"""''""''''""￣ﾞﾞ"'''''―--::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.
''"''''"""''"""'''''"""''""''""",,,,-‐'゛'''''"""''""''''""''"''''""''"""'''''"""''""ﾞ''､,,"'''''―--'''""''"''''"""''"""''''
..:ヾ:ヾ.ヽ.:ヾ: ヾヾヽ.:ヾ ...ヾ.,. .ヽ.:,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ヾ:.,..ヽ.:ヾ .. ヾヾヽヾ. ヾ .. ヾヾヾ｀`'‐.｀`'‐.､ヾヽ..ヽ.:ヾ .
ヾヾ ヽ.: ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ ヾ .. .,.ヾ.,. .ヽ .:ヾ:. ..ヽ｀`'‐.､｀`'‐.､ .:
ヾヾヽ ヾ ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ :.,..ヽ.:ヾ .. ヾ ヾヾヽ ヾ ヾ.,. .ヽ.:ヾ:
:;.:"；|./:;.:'"；ﾞ:.:ﾞ,:;ヾ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ ヾヾヽ ヾ ヾ::.ヾヾ
':;,`:ヽ|／,':,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''"""''"""'''''"""''""''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''
"；*'.:.:;”:;,`:;,':,*”:;:;.,:;.:；'.:.:;”:; ,:;.:';';';::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:;';',: ':::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:;';:;.:"
:".:;.:'"iﾞ:.:ﾞ,:;、,"ﾉ'.:；ノ'.:.:;”:;,`: :::::: '''''"""''""''''""''"''''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''"
":;*;;:ヽ|i／:;,':,:;.,:;.:∨/／.:"；wM ' ''''"""''""''''""''"''''"""''"""' ''''"" "W从wＷW从
::;.:"；|./:;.:'"；ﾞ:.:*ﾞ,:;//,:;、,"ﾉ'.:；ノ'.: 从Ｗ从W Ｗ从从.,.WＷ从WwＷ .,.,.,W从wＷW 从w
.:;,`:ヽ|:i.|;,`*／,':,:;ii|,:;/.:*::;.:"::
161 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:19:34 ID:aLAwNRhg
おわり。やっと17ページだよ！ゴールは330ページ
あばばばばばばｗｗｗ
162 名前：名無しさんＩＤ試験導入中[sage] 投稿日：2009/04/10(金) 21:20:18 ID:umbf3mX6
乙
先が長すぎて吹いた
169 名前：名無しさんＩＤ試験導入中[sage] 投稿日：2009/04/14(火) 19:47:54 ID:j8iBrCTw
良スレを発見してしまった……
170 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:12:46 ID:TtpIADMg0
:.:.. .:. ...:..::::::...::..:: .:: : .. .. . .. ,,､､,,,,;;;´" ……私たちはこの村に海軍の脱走兵が逃げ込んだなどということは
...::..:::..:::.. . ..::...::.: .: . ... ,;;'":::.:.....::.::...
,.,, :.. . ..::...::.: .: . ... ,,.r'":::.:.....::.::....::... 夢にも知らなかった。
;;;,;ヽ､ ,,､､-'';":`::::::.:.....::.::...:...,..::...
;;;;,';;;;ヽ;, ,..-''"::::::.:.:.:..:....::..::...:...,..:..:....::...::...
======================,;;r''"::::::.:.:.:..:....::..::...:...,.:...:...,..:..:....::...::...
;;;ii ;;;;;ii,;;;;;,ii.;;;;;ii.;;;;;.ii .;;;;;,ii.;;;;;( ::::::.:.:.:..:....::..::...:...,:...:...,.,,..:..:....::...:..:....::..
''_'''''_'''_'',.'''_''''_''_'''''_'',.'''_''''_''_''''',;;;"''ｰ-l､,,'""'ﾞ,ﾞ'""'"､.wiﾙv,iﾙwviw.:
__- =_≡ _- _-_=_ = - _-_ -_ =≡_-;`--_ _､., ＿,__ ￣`￢.,v:.:
^ _ _ -_ ^ _ _=_ -_^__ =_ - _ - ≡ Y,.,lji,; 丱
=__-_ -__= - _-_ -_ =_ -_ ^__-_= -ｰ"`ﾞ i ,.,...ﾕiW
_ -_ __ -_^__ =_ -_ ^__ _,,､。"`ﾞ ::: ::: ∥,,::iﾘv,i
_ = _ -_ _ _ = __ __,,､｡-ｰ''"`ﾞ::: 」:.::.ｖﾉiVi
_,,.,..､｡v-ｰ''"ﾞ~ :: ' ::: : ::: ::: :: :::: :: ::: 「;;,,;;:ｙﾊiW
`"ﾞ :::: :: :::' ,:: :::: : ::: : /,:.;,:.;,:.ﾅｗｙ
171 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:13:17 ID:TtpIADMg0
＿＿
/＿＿|__ ただ昼ごろ村役場へ憲兵が来た。
/__了 ﾟДﾟ）
(|〆/|) しかし憲兵が来るのはめずらしくなかったから、
／| ￣ |
∪ ∪ さほどにも思わなかった。
'￣￣￣||| | ┏━┯┯━┳━┯┯━┳━┯┯━┳━┯┯━┓
|| | ┠─┼┼─╂─┼┼─╂─┼┼─╂─┼士─┃ それは十月末の明るい一日である。
|| | ┠─┼┼─╂─┼┼─╂─┼┼─╂─┼|＼,￣■]＼,
|| | ┠─┼┼─╂─┼┼─╂─┼┼─╂─┼||＼＼ ＼ 私はいつものように学校へゆき、
、 _,,|| | ┠─┼┼─╂─┼┼─╂─┼┼─╂─┼||＼l＼|￣￣￣|
'ヽ,／ || | ┣━┷┷━╋━┷┷━╋━┷┷━╋━┷||＼l＼|| | 夜の勉強をすませて、
.／″' ..|| | ┃| ┃ |┃| ┃ ||＼l＼|| |
|| | ┃| ┃ |┃| ┃ ||＼＼.|| | 寝るべき時刻であった。
／￣￣jl ━━━┻━━━━┻━━━━┻━━ヽ、| ｡}|| |
／ /i＿__,,;;;;;:| ;;; ;;;;;;＼;;;;;;;;;;;;::. ＼| || |
. ,.∠＿＿＿/ ´x /,,,,;||＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＼;;;;;;;;;;;;;. ＼ || |
´ ||￣￣￣||ー―‐',, ,,,,:.||￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ ＼::::::::::: ~ ￣￣￣
172 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:13:49 ID:TtpIADMg0
・ .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;., ;,::;
;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *:,; ;.,;,::;;。,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,★:,; ;.,;,:: .,... .. ;:
;:;;: , .,., *.,. ;:;: ,.: ;,;,:,:,; ;.,;* ,::;;,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.: ; ,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;:。 ,.:;,;,:, *:,; ;.,;,::;;。,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;,:: .,... .. ;:
;:;;: , .,., *.,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;* ,::;;,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.: ,; ,:,:,; ;.,;,::;;,... .
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;:
;:;;: , .,., .,. ;:;: ,.:;,;,:,:,; ;.,;,::;;,... .. ;: ,.,.,
､,"ヾ "ﾞ ﾊ ( ノ;;;;;;;;;;;; ,; 、'' ,;''
ゞ, " ) ､ "ﾞ., ﾉ;;;;; ,,; '' ;" ﾞ,,;'ﾞ"'' ,,､-''";;;;;; ;;;;;;;;;;
;;;.､ヽヾ ﾊ ゞヾ , ,,; ﾞ,, .,;'ﾞ"ﾞ"ﾞ''",,､-''" ;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;; あかり
;;;;,. ﾞ ~|li ｲ,, ;' ' ,;''ﾞﾞ';'ﾞ ,,､-''" ;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ; 燈を消そうとして見下ろした村道に、
;' ､ '| l!i|,,;'ﾞ"ﾞ';'ﾞ ,,､-''" ;;;; ;; ;;;; ;;;;;; ;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;
,,; ,'ﾞ"ﾞ'';ﾞ ; ,,､-''" ;; ;;; ;;;;;; ;;;;;; ;;;;;; ;;;;;; ;;;;;;;;;; 大ぜいの人が、犬の群れのように息せいて駆ける音がきこえた。
,;''ﾞ";, ,,､-''" ;;;;;; ;;; ;;;; ;;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;
,,､-''" ;;;;;;; ;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;; ;;;;;; ;;; ;;;;;;;;;;;; ;;;;;;
;;; . ;;;;;;;;;;; ;;;;;;;; ;;;;;;;;; ;;;;;; ;;;;;;;;;;;; ;;;;; ;;; ,'ﾞ"ﾞ''
;; ;; . ;;;;;; ;;;;;;;;;;;; ;;; ;;;;;;;;;;;; ;;;;;; ;;;;;;;; ,'ﾞ"ﾞ';'"ﾞ"
;; ;;; ;; . ;;;;;; ;;;;;;; ;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;; ;;;; ,'ﾞ"ﾞ'' ﾞ''
;;;;; ;;;;; ;;;;;; ;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;;;;, ;;''ﾞ"ﾞ''ﾞ "ﾞ'
;;;;;;;;;; ;;;;;; ;;;;;; ;;;;;;;;; ,,'ﾞ"ﾞ'' ﾞﾞ;;''
;;;;;; ;;;;;;; ;;;;;; ;;;;;; ;;;;; ,'ﾞ"ﾞ'';;' ﾞﾞ";;
;;;;;; ;;;;;;;;;;; ;;;;;;;;;;; ,'ﾞ"ﾞ'';ﾞ ''";
;;;;;; ;;;;;;;;; .,'ﾞ"ﾞ''; ""
;;;;;;;;;;; ; ,:ﾞ"ﾞ''; ,' ;ﾞ"
;;;; ,'ﾞ"ﾞ"; ﾞ ﾞ "
173 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:14:27 ID:TtpIADMg0
| ||:.. ￣.| | ::|:|| ..||| |: .|
| ||:. | | ::|:! ||| |: .| 私は階下に下りた。
＼└┐ ||:. | | ::|_l＿ ┌l|| |: .|
.＼ l＼.FﾆﾆﾆFﾆﾆﾆi| |]..::| ‐┴───┴]|| |: .| 玄関口には学友の一人が立っていて、
| ＼ l＼ ､＿|＿＿|| ┴,:||:::::::::::::::::::::::::::::::::|| |: .|
l .|＼ l＼.======| || || |: ..＿_. | 起きてきた叔父叔母や私に、目を丸くして叫んだ。
＼l .| .|＼ l＼ | || || | |
＼ | .| |＼l＼ .! _|| || | |
＼. ! ! |＼l＼ _,‐' ||| || | |
＼ ! | i .! ||| || | |
＼__|‐´|.. | ／￣￣￣￣￣￣￣丶 ...| |
, ´| !＼|／.￣￣￣￣￣￣￣￣ 丶 .| |
| ＼ |.／──────────丶 . | |
| ／ .丶 . .| |
|／─────────────丶＿＿_...| |
＿_ _ ,ｨ;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;､::::::::::::::t-
_ .-ー二 --─ ／;::::::::::::::::::::::::::／l::::ﾊ:! !:::::::::::::::`;､
､" r.'￣ ／'"7::::::::::::／l:::／ l::/ .l! !:::::::::::::lヽ`
`ｰ`＝ ,/:::::::::／ l:; ' l/ l! .!:ﾊ:::::::::!
r= ─ フ＝､ー'ァ-- '--- '､＿＿l'＿_,l＿!;'_,!::::l`ヽ 「今、むこうで、有為子が憲兵につかまってるぞ。
'!oj`ｰY´o !ι !:ﾊ:::;r=j::::::::`ヽ ﾚ^!
ﾚ' '´ ､＿ノ .!' l://,.ﾘ:::::::ゝ｀` 一緒に行こう」
ヽ､＿`ｰt-と＿u_,」'.Yノ::::::::r`＿＿＿＿＿＿,
￣￣ ﾚ;| ,r.vｰv ーy ー vｰ vヽ |;ゝ
,､ ';| { l l l l l } ﾚ'
, -ー￢ｰ" '､ ,_| |ｰ'─' ---'---' ─'ｰ'|.|、
／/`ｰ.|工ﾄ,.ri￢ `｢f､,／ |.|::::::__:::, ── ､:::::__:::::|.| ミヽ、
r" '､.ｸ / L!| lｰノ>l｣ ） ". |.!::::H':/´ ヽ::H;::::!|ミ ヾ ヽ
ヽ、 <,/ .|_|<,/ .Oノ 彡 _|.!/Y:{ }:Yヽ!|､ﾐ ､ ヽ .ヽ
` ー─── 1' / ",-';;;;|ﾘ-{::! !::}-!'|;;`;､_ 、 ヽ
/',;ｰ;'";;;;;;;;,'|l ,rl.ヽ ﾉ:lｩ,l.|;;;;;;;;;;`;ｰt､
,Y !;;;;;;;;;;;;;;;;,!ヾ,!.ヽ ヽ ／入,!'ﾉ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;! `
174 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:14:49 ID:TtpIADMg0
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::: ── :::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;／ ＼;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 私は下駄をつっかけて駆け出した。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ......:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ....::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 月のよい夜で、
.................................................................| |....................................................... はざ
... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... | |... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... ... 刈田のそこかしこに稲架が鮮明な影を落としていた。
.. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. :. .. .. .. .. /.. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .. .
. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . ＼ . . . . .: . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
. . . . . . . . . . . . . . . . . ー ＿＿ ..／. . . . . . . . . . . . . .
/;; ゞ ;;; ::|;ll;:lｿ;;:;;;ヾ;:::|;l;::l|;;::::::;;;ﾉ ヽ ;;::::::;;;;:ゞ;;;::::: ;;::;;; ゞヾ
ｿ : :; ;; ;;|::;ll;l|ヾ ヾ;;::;|;;;:ll|;;;::;;ﾊヾ;;::::ｿ;;::/ヽ;;;::ヾ ;;;;::::::;;;:ヾ
|;ll;:ll| |;l;::l| ;;::|;;::ll| ;;:::: ;;;ヾ;;;:::ヾ 一むらの木立のかげに、黒い人影が集まって動いている。
|::;ll;l| |;;;:ll| |::;;:l| ;|;;:ll;|;;::ﾉ
|;ll;:ll| |;l;::l| |;;::ll| :|::;;ll|
;;;:: ::; ;;:::|::;ll;l|; : : :; ;;:|;;;:ll|::::;;; ;; ;;::: ;;.|::;;:l| ;;:: :::; .,|;;:ll;|::;;;;;;;;;;;
::;; ;;:: :::;; ﾉ ::;;lll;;:: ;; ;::; |::;;ll|;;; :::: ;;: :ｿ;;::llﾊ ;;:: ::::|::;;ll|" ;;;::::.......
"""" :::::: ;;;;;; ;; ;;'''""" ::;;;;;;;;;;; ;;:::::::: ;;::ﾉ ﾊ:ヾ " ;;::::::
;;;;;;::: """,,::::: ::::;;; ;;;"""" ;;;::::........,,,, ;;'' ::::;;;:::;;; ;;;""
:::::: ;;;;;; ;; ;;'' ::::;;; ;;;""" ;;;: :: " ;;:::::: "" ;;;::::........,,,,
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; ;;;""" ;;;: :: ;;: :: " ;;:::::: ::::;;; ;;;"""" ;;;::::..;; ::: ::::;
175 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:15:24 ID:TtpIADMg0
.l.l:.ﾉV:.:.:.:.:.:.:.:.:| ヽ ヽ 〃:/
// l|:.:.: :/∧:.',ヽ､ ././
〃 /:.:/:.:.:/＼､ ＞ ､ ./ 黒っぽい洋服を着た有為子が地面に座っている。
/:/',:.:/ .ヽ ,＞ ､ _.／.／
.,..:-／l '/ '., /_ その顔は大そう白い。
..／:::::(:::::::', ＼ |', ヽ､
／:::::::::::ヽ:::: :', ＼ l ヽ .ヽ
／､::::::::::::::::::ヽ: :::'., ＞､ ', ', ＼
. 〈 .＼::::::::::::::::ヽ:::::ヽ .／~/ .l .,､‐-､＼
l ＼:::::::::::::::｀:::::ヽ ／ ./l ./ .／::::::::::::::､ヽ
〉 ｀ヽ､ ＼:::::::::::::::::::::ヽ／:::::＼ ヽ /／::: ::::::::::::::::/ ヽ
. ヽ＼､ ヽ ＼.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ /:::::::::::::::::::::::::/ .,ｲ
!ヾ｀ヽ ヽ｀ ',:::::::::::::::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::::::/ / .l
＿＿ ＿＿
/＿＿|__ /＿＿|__
/__了 ﾟДﾟ） /__了 ﾟДﾟ）
(|〆/|) (|〆/|) まわりにいるのは、四五人の憲兵と、両親である。
／| ￣ | ／| ￣ |
∪ ∪ ∪ ∪ 憲兵の一人が、弁当包みのようなものを差し出して、怒鳴っている。
＿＿ ＿＿
/＿＿|__ /＿＿|__
/__了 ﾟДﾟ） /__了 ﾟДﾟ）ｺﾞﾙｧ
(|〆/|) (|〆/|丶□
／| ￣ | ／| ￣ |
∪ ∪ ∪ ∪
176 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:15:53 ID:TtpIADMg0
＿＿＿_
／～～～ ＼ 父親はあちこちへ顔を動かし、
／ _ノ Ξヽ､_ ＼
／ oﾟ（◎）―（◎）ﾟo ＼ 憲兵に詫び言を言ったり、
| ::::（（（__人__）））:::: |
＼ ｀⌒´ ／
＿＿＿_
／ノΞΞヽ＼
／（ ◎）―（◎）＼ 娘を責め立てたりしている。
／:::::（ （（__人__）））::: ＼
| ヽ |!!il|!|!l| / | 母親はうずくまって泣いている。
＼ |ｪｪｪｪ| ／
177 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:17:11 ID:TtpIADMg0
''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''"""'''''"""''""''"""'''''"""''""''''""￣ﾞﾞ"'''''―-
''"''''"""''"""'''''"""''""''""",,,,-‐'゛'''''"""''""''''""''"''''""''"""'''''"""''""ﾞ''､,,"'''''―--'''""''"''''"""''"""''''
..:ヾ:ヾ.ヽ.:ヾ: ヾヾヽ.:ヾ ...ヾ.,. .ヽ.:,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ヾ:.,..ヽ.:ヾ .. ヾヾヽヾ. ヾ .. ヾヾヾ｀`'‐.｀`'‐.､ヾヽ..ヽ.:ヾ .
ヾヾ ヽ.: ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ ヾ .. .,.ヾ.,. .ヽ .:ヾ:. ..ヽ｀`'‐.､｀`'‐.､ .:
ヾヾヽ ヾ ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ :.,..ヽ.:ヾ .. ヾ ヾヾヽ ヾ ヾ.,. .ヽ.:ヾ:
:;.:"；|./:;.:'"；ﾞ:.:ﾞ,:;ヾ,,,,-‐'゛,,,,-‐'゛ ヾヾヽ ヾ ヾ::.ヾヾ あぜ
':;,`:ヽ|／,':,:;*.,:;/.:::;.:":::"''''"""''"""'''''"""''""''"""'''''"""''""''''""''"''''"""''"""''''' 私たちは田を一つ隔てたこちらの畦から眺めていた。
"；*'.:.:;”:;,`:;,':,*”:;:;.,:;.:；'.:.:;”:; ,:;.:';';';::;.:".:;.:'"ﾞ:.:ﾞ,:;、,"'.:.:;,`:;,':,:;.,:;.:;';',: '::;.:"
:".:;.:'"iﾞ:.:ﾞ,:;、,"ﾉ'.:；ノ'.:.:;”:;,`: :::::: '''''"""''""''''""''"''''"" 見物はだんだん増え、お互いに無言の肩が触れた。
":;*;;:ヽ|i／:;,':,:;.,:;.:∨/／.:"；w
::;.:"；|./:;.:'"；ﾞ:.:*ﾞ,:;//,:;、,"ﾉ'.:；ノ'.
.:;,`:ヽ|:i.|;,`*／,':,:;ii|,:;/.:*::;.:"::
.;；＼.:|:i|i;,`:;,:;.:'|ii"ﾞ:.:ﾞ,／:;、.
::;*:".:;.|i;i|i;,`:;,'*iiiｿﾞ:.:ﾞ、*,"ﾉ'.:；ノ'.:.:;”:;,`
.:;,*`ヽ|／:;,':,:ｿ|､_,.,:;.:∨/／.*:"；'/.:.:;”:;,,,
.*:;.:'"；|'ﾉ.:.:;”:;,`:;:i;|.':,”ｿ::.:ﾞ,:;、,",,,,-
178 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:17:36 ID:TtpIADMg0
。 ﾟ
.:. :.: .:., :,, "''';,;;;､:::::...:.:.:,;, :. :. .. . :, :.: . ;. :. :. :. . . . . "''‐､_, ;, ;,, , , ;,, : .: .:.:.: ...:: .:. . : . . .
. .. , ;:,; ,.;,:;,,..:..: .:. :.: . .: .:."'''',;'. :.";,.. :. :. , . .:. . : "'';:,.,.,._ . . . . . . . : ::. ;,: , ;. :;.: ,;:, "''.: . .
"';,. :.: .: .:.::.:. . . ,'. :. :. .. :. :... :' . .. . : . :. . ."'';:,.; : .: .:. .: .:. . .:; .,: . ,: ' .: .:,.;:' .
. :. : .:..::::::.: :. . :.: . .. .. . :. :.: .. . . "'';:,.. . . . . "ﾞ‐ : :. :. . . . : .: .: : :. :. :. :. :.:. : .: . . :. :.. . . . . 月が絞られたように小さく、
` ,,,. ,., ' ,. . :. .: . . . :.: ... : .: .. . . ."';,_, . . . : . :. . ,.,.,... . . : .. :. :.:. :.
'""''''';:;:;,., ::,. .:: -‐- :. ...::: ..::.. ::...':::::......"""''''''"""'''' :. .. . : . :. .. :..:.:..:::.: .: .:.::.:. . . .: .: .: . .. 我々の頭上にあった。
::::::::.....: .. : ,r'´. ｀ヽ: .. ......:..:.:::::::::.:.:.: .: .:: ...:;'. :. :. .. . : .:. :. .. . :, :.: . ;.::.., . . . .: .: .: . .. . . .: .:
:::::::.:: .: ..: :' ..:. ﾞ;:::.:.:.: .: .:: ...:;'. :. :. .. . : . :. .. :..:.:..::::::::::::.., . . . .: .: .: . .. ...::::::
::::::::::::.: ..: :. ::.. .: .: .. : ;, .: .. . ...: ::: .. .::::. : :: :::::... ..... :. :.: .:. . . :. . . :.. : . . .: .:. :. .. :. :.: .
::::::.......: ..: :ヽ ::::... ..... ,.': :.. :. :......:::::::..:.: :.: ::.';:,:,.: :,,; , ,; ;'...:..:. :. .... . :;,; ,;.:. .,:; ;,:;; .:. , ,,...: .:. :. .. :. :.: .
::::::.::::. ::.. :..:. :` ｰ- ‐ ''"... ... 9i6 .: .. : ;, .: .. .::::.:.:.: .: .:: ...:: :: :::::... ..... :. :.: .:. . . :. . . :.. : . .
";,..:::.:.:::.:.;,.,.;, ;. :. :,: .: . ;. :. . .;.（. .."''';:;:,.,.,.._, . :.: . :.: .:. :. :. .: . : . :. :.: .:. :. :.. .
.:. :.: .:., :,, "''';,;;;､:::::...:.:.:,;, :. :. .. ）. :, :.: . ;. :. :. :. . . . . "'' , ;, ;,, , , ;,, : .: .:.:.: ...:: .:. . : . . .
.. , ;:,; ,.;,:;,,..:..: .:. :.: . .: .:."'''',;'. :.";,.. :. :. , . .:. . : "'';:,.,.,._ . . . . . . . : :'";,: , ;. :;.: ,;:, "''.: .
....,,_,,,...;:;::''""''''"'.:.:.:.: .: .:: ...:
,.,;:;:;:;:;'''"""""" """"""''''';:;:;,.,＿,. ...,,,;:;;:;,,,..;:.;:;;:;;::''""::::.:.:.: .: .:: ...:
179 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:17:57 ID:TtpIADMg0
__,----、
／，－－ ￣ヽ
!, //ｰﾙ－ﾘゞ ﾛ多 学友が私の耳もとで説明した。
ﾚ(･)ｊ (･),,ﾙｊﾉ､_多
､ヽｰヲﾉ/ ／ 弁当包みを持って家を抜け出して、
/~|::::Ｖ::::|／
/／|::::８:::::| 隣の部落へ行こうとしていた有為子が、
'" レ非Ｖ＼
/ .∧ _ ,-ｬ 待ち伏せていた憲兵につかまったこと。
ミ三彡 彡シ"ｊ
＼ヽ､ /／ その弁当は脱走兵に届けるものに相違ないこと。
∠／ ＼＞
＞―:::::::::::::::::::::::V::<
／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼
ゝ---‐彡'´:::::::::／::;::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ 脱走兵と有為子は海軍病院で親しくなり、
￣／／:::::::／::／l:::::l::|:::ヽ::::::::ヽ::::::ﾊ
ー＝ﾆ:ィ::/::l:／::／::::/:::::l:::＼::ヽヽ::::l::::::::l そのために妊娠した有為子が病院を追い出されたこと。
. /::;l:／-イ:l､:::::::::::/l::/l:∧::::}::::|::::::､＼
l::/'l:::::::::::トl_ヽ:::::///ｚl左∨:::::l:::::::::::‐≧-
l:{ ゝ::::::::{代ｆｊﾍ:{/´ 弋ﾁ, }::::ﾒテ:≦≠-
`ゝ ヽ::l:::≧= }｀ ￣ ノｨ/´::l/
ｊ/ヽlﾍ 丶 彳!:/
´ l´ ヽ、' ⌒ ／ノｨk1
／＞‐ 彡 ´￣ 〉
{:.:￣￣ .:.:.:.:.:└-､_
180 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:18:18 ID:TtpIADMg0
./:::i| .｀''ヾ､ _ノ⌒ ｰ - ,,,＿＿ ＿
}:::::::l ..ﾞヾ!､! ,r‐'ﾞ ／/ ヽ 憲兵は脱走兵の隠れ家を言えと詰問しているが、
「::::ヾ| ;ヽf ヽ l / l
../::::::::::l ,-'" ＼___ / 有為子はそこに坐ったまま一歩も動かず、
/:::::::::::..ヽ l ＼X=-､,,＿_／ かたく
:::::::::::::::::..ヽl ﾉ ` ､ ヽ ,ﾍ./ 頑なに押し黙っていること。……
:::::::::::::::::::::..ヽ､ i´ ` ､ ﾉ ヾ|
:::::::::::::::::::::::::::..｀ヽ | ､ `'rイ ,ノ
::::::::::::::::::::::::::::::::.::..＼ ＼ `=､.._＿,ノ ￣
:::::::::::::::::::::::::::::::::l::::::::i＼ | ヽ､＿ ﾉ
::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::| ＼:!`ｰ､ ,,=''::::｀､'‐-'ﾞ
181 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:18:45 ID:TtpIADMg0
＿＿＿_ ま
／⌒ ⌒＼ 私はといえば、目ばたきもせずに、
／（○） （○ ） ＼
／ __´__ ＼ 有為子の顔ばかりを見つめていた。
| － |
＼ ／
＼! ﾄゝ:!' :/: /: : /l: :.! / 彼女は捕らわれの狂女のように見えた
l:ﾄ:｀: /ｲ: ｲ:／Ⅵ: :!
ヾ ヽト,､⌒ 〃〃 |_V 月の下に、その顔は動かなかった。
ヽゝ｀丶、 ィ ´ ! /::|
ｒ|_i＿/＿／::∧
人::::::::::::::::::／ ヽ
／｀ 、￣￣ ＼
182 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:19:09 ID:TtpIADMg0
／￣￣￣＼ 私は今まで、
／― ― ＼
／;;;（◯）::::::（◯）;;; ＼
| __´___ |
＼ `ー'´ ／
＿＿.-.;―――――-. .､
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :｀; ､_
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼｀
／ィ:´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ:､ あれほど拒否にあふれた顔を見たことがない。
／´ /: : : : : : : : : : : : : : : : : ､: : : : : : : : : : : : :ヽヽ
/: : ; : : : : : : : : : :､: : : : : :ヽ : : : ヽ: : : : : : : :ヽ 私は自分の顔を、世界から拒まれた顔だと思っている。
ｉ: : : ｌ : : : |: :ト､:丶: :ヽ: : :ヽ: ヽ_ : l: 丶 : : : : : : :〉
||: : :l: : : : |:i:|:::::＼ヾ ｘヽ、:T､ l: : :l: : :ト､: : : : :/ しかるに有為子の顔は世界を拒んでいた。
Ⅳ : l: :l : AN::::::::::::ヾ::::,ヾ斗zｵ: : :!: : !. ﾊ: :l V
| !: : :l; :ヽﾍｷ.､::::::::ィｆ´ﾍ:Ｊ辷ﾘ : : l: : |/: : .ｨ ﾊ
| ＼: :ト､:ﾄ:ﾊ ﾘ:::::::::::: -'‐ '´/:/: /: : |: : / l/
＼! ﾄゝ:!' /: /: : /l: :.! /
l:ﾄ:｀: /ｲ: ｲ:／Ⅵ: :!
ヾ ヽト,､⌒ 〃〃 |_V
ヽゝ｀丶、 ィ ´ ! /::|
ｒ|_i＿/＿／::∧
人::::::::::::::::::／ ヽ
／｀ 、￣￣ ＼
183 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:19:35 ID:TtpIADMg0
。 ﾟ
.:. :.: .:., :,, "''';,;;;､:::::...:.:.:,;, :. :. .. . :, :.: . ;. :. :. :. . . . . "''‐､_, ;, ;,, , , ;,, : .: .:.:.: ...:: .:. . : . . .
. .. , ;:,; ,.;,:;,,..:..: .:. :.: . .: .:."'''',;'. :.";,.. :. :. , . .:. . : "'';:,.,.,._ . . . . . . . : ::. ;,: , ;. :;.: ,;:, "''.: . .
"';,. :.: .: .:.::.:. . . ,'. :. :. .. :. :... :' . .. . : . :. . ."'';:,.; : .: .:. .: .:. . .:; .,: . ,: ' .: .:,.;:' .
. :. : .:..::::::.: :. . :.: . .. .. . :. :.: .. . . "'';:,.. . . . . "ﾞ‐ : :. :. . . . : .: .: : :. :. :. :. :.:. : .: . . :. :.. . . . . 月の光はその額や目や鼻筋や頬の上を
` ,,,. ,., ' ,. . :. .: . . . :.: ... : .: .. . . ."';,_, . . . : . :. . ,.,.,... . . : .. :. :.:. :.
'""''''';:;:;,., ::,. .:: -‐- :. ...::: ..::.. ::...':::::......"""''''''"""'''' :. .. . : . :. .. :..:.:..:::.: .: .:.::.:. . . .: .: .: . .. 容赦なく流れていたが、
::::::::.....: .. : ,r'´. ｀ヽ: .. ......:..:.:::::::::.:.:.: .: .:: ...:;'. :. :. .. . : .:. :. .. . :, :.: . ;.::.., . . . .: .: .: . .. . . .: .:
:::::::.:: .: ..: :' ..:. ﾞ;:::.:.:.: .: .:: ...:;'. :. :. .. . : . :. .. :..:.:..::::::::::::.., . . . .: .: .: . .. ...:::::: 不動の顔はただその光に洗われていた。
::::::::::::.: ..: :. ::.. .: .: .. : ;, .: .. . ...: ::: .. .::::. : :: :::::... ..... :. :.: .:. . . :. . . :.. : . . .: .:. :. .. :. :.: .
::::::.......: ..: :ヽ ::::... ..... ,.': :.. :. :......:::::::..:.: :.: ::.';:,:,.: :,,; , ,; ;'...:..:. :. .... . :;,; ,;.:. .,:; ;,:;; .:. , ,,...: .:. :. .. :. :.: .
::::::.::::. ::.. :..:. :` ｰ- ‐ ''"... ... 9i6 .: .. : ;, .: .. .::::.:.:.: .: .:: ...:: :: :::::... ..... :. :.: .:. . . :. . . :.. : . .
";,..:::.:.:::.:.;,.,.;, ;. :. :,: .: . ;. :. . .;.（. .."''';:;:,.,.,.._, . :.: . :.: .:. :. :. .: . : . :. :.: .:. :. :.. .
.:. :.: .:., :,, "''';,;;;､:::::...:.:.:,;, :. :. .. ）. :, :.: . ;. :. :. :. . . . . "'' , ;, ;,, , , ;,, : .: .:.:.: ...:: .:. . : . . .
.. , ;:,; ,.;,:;,,..:..: .:. :.: . .: .:."'''',;'. :.";,.. :. :. , . .:. . : "'';:,.,.,._ . . . . . . . : :'";,: , ;. :;.: ,;:, "''.: .
....,,_,,,...;:;::''""''''"'.:.:.:.: .: .:: ...:
,.,;:;:;:;:;'''"""""" """"""''''';:;:;,.,＿,. ...,,,;:;;:;,,,..;:.;:;;:;;::''""::::.:.:.: .: .:: ...:
";;;,.. :::;,;'"';,,.;. :. :;.; :.:. .:;. ... .:.:.: .: .:: ...:;'. :. :. .. . : . :. .. :..:.:..::::::::::::.., . . . .: .: .: . .. . . .: .:. :. . . .. .
ﾞﾞ"''ﾞ;:,...::::::.:. :.: ::,;..:.:.. .:. :. . . :.: .: . .. .:.:.: .: .: :::; .: .:. . .:. :. :. . ..
184 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:20:06 ID:TtpIADMg0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ちょっと
||: : :l: : : : |:i:|:::::＼ヾ ｘヽ、:T､ l: : :l: : :ト､: : : : :/ 一寸目を動かし、
Ⅳ : l: :l : AN::::::::::::ヾ::::,ヾ斗zｵ: : :!: : !. ﾊ: :l V
| !: : :l; :ヽﾍｷ.､::::::::ィｆ´ﾍ:Ｊ辷ﾘ : : l: : |/: : .ｨ ﾊ
| ＼: :ト､:ﾄ:ﾊ ﾘ:::::::::::: -'‐ '´/:/: /: : |: : / l/
＼! ﾄゝ:!' /: /: : /l: :.! /
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
185 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:20:25 ID:TtpIADMg0
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
l:ﾄ:｀: /ｲ: ｲ:／Ⅵ: :! 一寸口を動かせば、
ヾ ヽト,､⌒ 〃〃 |_V
ヽゝ｀丶、 ィ ´ ! /::| 彼女が拒もうとしている世界は、
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
, ,,/ , ", ,, /
／ ´ , , , / ', それを合図に、
' ' ' , ' ', , /
／ ' ' , , /,, , ' ' 雪崩れ込んでくるだろう。
, , , / , ' ' '' ' , , / ''
／ ´ , , , / / , ' ' ''
, ' ' ' / ,, , ' ', , ' ',, /
／ " , / , / ,, , ' ' /',, , '/' ',
, ' ' ' / ,, , ' ', , / ' ', /
／, " , ,, / ' ' ", ,, / ' ",,/ , ' '
, ,,/ , , ' ' ", ,, / ' ' ",/ ,, ,
／ ' ' , , /,, , ' '' ', , /'' ', ,
, , , / , ' ' '' ' , , / ' ' '' ' , ,' ' /
／ ´ , , , / / , ' ' '' , , / , ' '
, ' ' ' / ,, , ' ', , / /, , ' ' / ,, ,
／ " , / , / ,, , ' ' /',, , ' ' /' ',' / ,, , ' '/
´・’ * .’.;' ∵；, ∵；, ’;'`* ' + *'・’';,、:' ’；・ *
*；:';；'； ，： '＿ .;' ∵；'‘；’∵；, *；:';；'； :'´・’*'’';,+、
186 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:21:10 ID:TtpIADMg0
＿＿＿_
／⌒ ⌒＼
／（○） （○ ） ＼ 私は息を詰めてそれに見入った。
／ __´__ ＼
| － |
＼ ／
＿＿.-.;―――――-. .､
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :｀; ､_
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼｀
／ィ:´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ:､ 歴史はそこで中断され、
／´ /: : : : : : : : : : : : : : : : : ､: : : : : : : : : : : : :ヽヽ
/: : ; : : : : : : : : : :､: : : : : :ヽ : : : ヽ: : : : : : : :ヽ 未来に向かっても過去に向かっても、
ｉ: : : ｌ : : : |: :ト､:丶: :ヽ: : :ヽ: ヽ_ : l: 丶 : : : : : : :〉
||: : :l: : : : |:i:|:::::＼ヾ ｘヽ、:T､ l: : :l: : :ト､: : : : :/ 何一つ語りかけない顔。
Ⅳ : l: :l : AN::::::::::::ヾ::::,ヾ斗zｵ: : :!: : !. ﾊ: :l V
| !: : :l; :ヽﾍｷ.､::::::::ィｆ´ﾍ:Ｊ辷ﾘ : : l: : |/: : .ｨ ﾊ
| ＼: :ト､:ﾄ:ﾊ ﾘ:::::::::::: -'‐ '´/:/: /: : |: : / l/
＼! ﾄゝ:!' /: /: : /l: :.! /
l:ﾄ:｀: /ｲ: ｲ:／Ⅵ: :!
ヾ ヽト,､⌒ 〃〃 |_V
ヽゝ｀丶、 ィ ´ ! /::|
ｒ|_i＿/＿／::∧
人::::::::::::::::::／ ヽ
／｀ 、￣￣ ＼
187 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:21:32 ID:TtpIADMg0
＿＿＿＿
|: .:| ;n ::| :: | そういうふしぎな顔を、
, . |: ::| ::{ﾘ ::! :!:| ,,.., .,..
; , | .::| ::r : :| :i | .:;;::;;;. ,;:. ,. われわれは、今切り倒されたばかりの
;; /.::/ :::|i :.:| :l;ﾊ.＿,,. ,,::;;.:. ,;:.,,. .. ,.,,.
ノ,;ノ : ::八 :ゝ::ヽ＼＿,,.,. :, ,.vVw, 切株の上に見ることがある。
;:´.:: :／.::::ヾ::＼::＼::ｰ､ ,;;::.. ,,:;;;.. .,::
新鮮でみずみずしい色を帯びていても、
成長はそこで途絶え
188 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:21:56 ID:TtpIADMg0
｜
+ ― く> ―
<> |
◇ ﾛ * 浴びる筈のなかった風と日光を浴び、
. ┌┐ ┼
. + └┘ ◇ 本来自分のものではない世界に突如として
／＼ さら
.＿＿＿＿＿ ___＼／ ／＼ 曝されたその断面に、
| |::;.ii|...;;;;ii:i;;;:;i| * ＿/__/ + | ｜ +
|| |,|;ii|.;...;;:.;:;iii;i| ／ | * ＼／ 美しい木目が描かれたふしぎな顔。
| |.;...|.;;:.;:iii;iiii0)| ┼ |＿／
|| ||iiii|iii;;ii:;;i:i;;;ii|,, ,,_,, ,,_,, ,,_,, ,,_,, ,,_,, ,,_,, ,,_,, ,,_,, +(＠) (＠) (＠) ,,_,,_,
|i:i;;i:i;;iii;;ii|i;;i,,ヽ,.,, ,,. . ,..,,., ,.;,,. ;,.,:. .; ,.;., ;,:;, ,.;:.,,.,; ,.;,,. ;,.,ヽ|ﾉ ヽ|ﾉ ヽ|ﾉ : .; ,.;.,
//;;;"ヽヽ｀"i´"〟ヽ｀;..:. , :,. ..;., ;,.,:. . ; ,.,.: ,..;,..,,; ,:;.,. : ,.;,'"'"'"'"'"'"'"'" ; : .
;..:. ,'"'"'",;,.,.:,.'"'" ,:;. ,, .;:., ;.,; ,.;,,. ;,.,:. .; ,.;., ;,:;, ,;.,.:. ;:. ,;. :,. :.. ,;, ;:.
189 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:22:28 ID:TtpIADMg0
＿＿.-.;―――――-. .､
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :｀; ､_
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼｀
／ィ:´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ:､
／´ /: : : : : : : : : : : : : : : : : ､: : : : : : : : : : : : :ヽヽ
/: : ; : : : : : : : : : :､: : : : : :ヽ : : : ヽ: : : : : : : :ヽ
ｉ: : : ｌ : : : |: :ト､:丶: :ヽ: : :ヽ: ヽ_ : l: 丶 : : : : : : :〉
||: : :l: : : : |:i:|:::::＼ヾ ｘヽ、:T､ l: : :l: : :ト､: : : : :/ ただ拒むために、こちらの世界へさし出されている顔。……
Ⅳ : l: :l : AN::::::::::::ヾ::::,ヾ斗zｵ: : :!: : !. ﾊ: :l V
| !: : :l; :ヽﾍｷ.､::::::::ィｆ´ﾍ:Ｊ辷ﾘ : : l: : |/: : .ｨ ﾊ 私は有為子の顔がこんなに美しかった瞬間は、
| ＼: :ト､:ﾄ:ﾊ ﾘ:::::::::::: -'‐ '´/:/: /: : |: : / l/
＼! ﾄゝ:!' /: /: : /l: :.! / 彼女の生涯にも、それを見ている私の生涯にも、
l:ﾄ:｀: /ｲ: ｲ:／Ⅵ: :!
ヾ ヽト,､⌒ 〃〃 |_V 二度とあるまいと思わずにはいられなかった。
ヽゝ｀丶、 ィ ´ ! /::|
ｒ|_i＿/＿／::∧
人::::::::::::::::::／ ヽ
／｀ 、￣￣ ＼
190 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:23:13 ID:TtpIADMg0
＿＿
／..::::::::::::::..＼
／..:::::::::::::::::::::::::.＼ しかしそれが続いたのは、思ったほど永い時間ではなかった。
／..::::::::::::::::::::::::::::::::::::.＼
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | この美しい顔に、突然、変容が現れたのである。
＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／
,. -‐'´..:::::::::::::::::::::...｀丶､
ﾉ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::....ヽ
＼! ﾄゝ:!' :/: /: : /l: :.! / 有為子は立上がった。
l:ﾄ:｀: /ｲ: ｲ:／Ⅵ: :!
ヾ ヽト,､ ノ 〃〃 |_V そのとき彼女は笑ったのを見たように思う。
ヽゝ｀丶、 ィ ´ ! /::|
ｒ|_i＿/＿／::∧
人::::::::::::::::::／ ヽ
／｀ 、￣￣ ＼ ｽッ…
191 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:23:56 ID:TtpIADMg0
。 ﾟ
.:. :.: .:., :,, "''';,;;;､:::::...:.:.:,;, :. :. .. . :, :.: . ;. :. :. :. . . . . "''‐､_, ;, ;,, , , ;,, : .: .:.:.: ...:: .:. . : . . .
. .. , ;:,; ,.;,:;,,..:..: .:. :.: . .: .:."'''',;'. :.";,.. :. :. , . .:. . : "'';:,.,.,._ . . . . . . . : ::. ;,: , ;. :;.: ,;:, "''.: . .
"';,. :.: .: .:.::.:. . . ,'. :. :. .. :. :... :' . .. . : . :. . ."'';:,.; : .: .:. .: .:. . .:; .,: . ,: ' .: .:,.;:' .
. :. : .:..::::::.: :. . :.: . .. .. . :. :.: .. . . "'';:,.. . . . . "ﾞ‐ : :. :. . . . : .: .: : :. :. :. :. :.:. : .: . . :. :.. . . . . 月あかりに白い前歯をきらめいたのを見たように思う。
` ,,,. ,., ' ,. . :. .: . . . :.: ... : .: .. . . ."';,_, . . . : . :. . ,.,.,... . . : .. :. :.:. :.
'""''''';:;:;,., ::,. .:: -‐- :. ...::: ..::.. ::...':::::......"""''''''"""'''' :. .. . : . :. .. :..:.:..:::.: .: .:.::.:. . . .: .: .: . .. 私はそれ以上、この変容について記すことはできない。
::::::::.....: .. : ,r'´. ｀ヽ: .. ......:..:.:::::::::.:.:.: .: .:: ...:;'. :. :. .. . : .:. :. .. . :, :.: . ;.::.., . . . .: .: .: . .. . . .: .:
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::::::.......: ..: :ヽ ::::... ..... ,.' : :.. :. :......:::::::..:.: :.: ::.';:,:,.: :,,; , ,; ;'...:..:. :. .... . :;,; ,;.:. .,:; ;,:;; .:. , ,,...: .:.
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192 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:24:23 ID:TtpIADMg0
/;; ゞ ;;; ::|;ll;:lｿ;;:;;;ヾ;:::|;l;::l|;;::::::;;;ﾉ ヽ ;;::::::;;;;:ゞ;;;::::: ;;::;;; ゞヾ
ｿ : :; ;; ;;|::;ll;l|ヾ ヾ;;::;|;;;:ll|;;;::;;ﾊヾ;;::::ｿ;;::/ヽ;;;::ヾ ;;;;::::::;;;:ヾ
|;ll;:ll| |;l;::l| ;;::|;;::ll| ;;:::: ;;;ヾ;;;:::ヾ 立ち上がった有為子の顔は、
|::;ll;l| |;;;:ll| |::;;:l| ;|;;:ll;|;;::ﾉ
|;ll;:ll| |;l;::l| |;;::ll| :|::;;ll| 月のあからさまな光をのがれて、
;;;:: ::; ;;:::|::;ll;l|; : : :; ;;:|;;;:ll|::::;;; ;; ;;::: ;;.|::;;:l| ;;:: :::; .,|;;:ll;|::;;;;;;;;;;;
::;; ;;:: :::;; ﾉ ::;;lll;;:: ;; ;::; |::;;ll|;;; :::: ;;: :ｿ;;::llﾊ ;;:: ::::|::;;ll|" ;;;::::....... 木立の影にまぎれたからである。
"""" :::::: ;;;;;; ;; ;;'''""" ::;;;;;;;;;;; ;;:::::::: ;;::ﾉ ﾊ:ヾ " ;;::::::
;;;;;;::: """,,::::: ::::;;; ;;;"""" ;;;::::........,,,, ;;'' ::::;;;:::;;; ;;;""
:::::: ;;;;;; ;; ;;'' ::::;;; ;;;""" ;;;: :: " ;;:::::: "" ;;;::::........,,,,
""" :::::: ;;;;;; ;; ::: ::::; ::::;;; ;;;"""" ;;;:::;;; ;;;"""" ;;;::::........,,,, ;"""" ;
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193 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:24:51 ID:TtpIADMg0
＿＿.-.;―――――-. .､
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :｀; ､_
／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ＼｀
／ィ:´: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヾ:､ 有為子が、裏切りを決心したときのこの変容を、
／´ /: : : : : : : : : : : : : : : : : ､: : : : : : : : : : : : :ヽヽ
/: : ; : : : : : : : : : :､: : : : : :ヽ : : : ヽ: : : : : : : :ヽ 私が見られなかったのは残念なことだ。
ｉ: : : ｌ : : : |: :ト､:丶: :ヽ: : :ヽ: ヽ_ : l: 丶 : : : : : : :〉
||: : :l: : : : |:i:|:::::＼ヾ ｘヽ、:T､ l: : :l: : :ト､: : : : :/
Ⅳ : l: :l : AN::::::::::::ヾ::::,ヾ斗zｵ: : :!: : !. ﾊ: :l V
| !: : :l; :ヽﾍ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾘ : : l: : |/: : .ｨ ﾊ
| ＼: :ト､:ﾄ:ﾊ:::::::::::::::::::::::::: '´/:/: /: : |: : / l/
＼! ﾄゝ:!' /: /: : /l: :.! /
l:ﾄ:｀: /ｲ: ｲ:／Ⅵ: :!
ヾ ヽト,､ 〃〃 |_V
ヽゝ｀丶、 ィ ´ ! /::|
ｒ|_i＿/＿／::∧
人::::::::::::::::::／ ヽ
／｀ 、￣￣ ＼
194 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:25:15 ID:TtpIADMg0
／￣￣￣＼
／ ─ ─ ＼ つぶさにそれを見ていれば、
／ （●） （●） ＼
| ´ |
＼ ￣ ／
／ ＼
／￣￣￣＼ ゆる
／ ─ ─ ＼ 私にも人間を恕す心が、
／ （○） （○） ＼
| ´ |
＼ ￣ ／
／ ＼
／￣￣￣＼
／ ＼ ／ ＼ あらゆる醜さを含めて恕す心が、
／ （○）::::::（○） ＼
| ´ | 芽生えたかもしれないのだ。
＼ ￣ ／
／ ＼
195 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:25:45 ID:TtpIADMg0
, -‐ '´￣￣｀ヽ､
, ' ／" ｀ヽ ヽ ヽ＼
, ' //, '/ ヽﾊ ヽ か
|i 〃 {_{ ＼ ／ ﾘ| ｌ``、 有為子は隣の部落の鹿原の山かげを指さした。
|i | | （ ○） （○） 从!」
|i`从⊂⊃ ､_,､_, ⊂⊃ヽ」
,..ヽ、 (_.ノ /ﾉ
./::"::::`ヘ,､ __, イ
/::i::::::::::::"'弋'!ｰ',イ>|'_ノ´｀ｰ -,,＿ _
}:::ﾞ|::::::::::::::::::::~ﾞ:_戈;f" 、 ｲ/ `i
/:::::::!;:::::::::::::::::::/',r.ﾃ ＼xｰ.ｫ､__ノ
::::::::::::ヾ!:::::::::::::l .l r' ` ､_冫y"
:::::::::::::::::＼o:::::l .ﾄ、 ヽ,＿ﾉ"ｰ'
＿＿ ＿＿
/＿＿|__ /＿＿|__
/__了 ﾟДﾟ） /__了 ﾟДﾟ）
(|〆/|) (|〆/|) 「金剛院だ」
／| ￣ | ／| ￣ |
∪ ∪ ∪ ∪ と憲兵が叫んだ。
＿＿ ＿＿
/＿＿|__ /＿＿|__
/__了 ﾟДﾟ） /__了 ﾟДﾟ）
(|〆/|) (|〆/|丶
／| ￣ | ／| ￣ |
∪ ∪ ∪ ∪
196 名前： ◆QMM2./GEis[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:27:23 ID:TtpIADMg0
おしまい
気を抜いていたら9日空いてたｗｗｗ
コワスｗｗ
197 名前：名無しさんＩＤ表示方式検討中[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:28:26 ID:g14BRWyg0
乙
いいところで切ったな
198 名前：名無しさんＩＤ表示方式検討中[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:28:54 ID:XDD/BKeM0
乙
待ってた！
199 名前：名無しさんＩＤ表示方式検討中[sage] 投稿日：2009/04/19(日) 22:44:48 ID:Yq/FBYVM0
乙
この辺 三島の文章だなぁと思う
真島文吉
坂上泉
荻原数馬
近本大
富士伸太
川田両悟
gulu ｔｏｉ８
ハイヌミ
間孝史
蝸牛くも
rainhills
潮谷験
須崎正太郎やみ主のファンティア (やみ主)
やみ主
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6706 名前： [] 投稿日：2009/04/25(土) 17:23:34 ID:sSHoJftA
昔読んだけど忘れちまったわ
期待
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やる夫短編まとめ
